子どもとウクレレ|何歳から?サイズの選び方と続けるコツ
「子どもにウクレレをやらせてみたい。でも、何歳から? 小さい子でも弾ける? 自分が弾けなくても大丈夫?」そんな疑問に、幼稚園教育要領と保育所保育指針、そして楽器店・学習サイトのウクレレ解説を開いて確かめながら、答えられる範囲でまとめました。先に書くと、「何歳から」という決まった基準は、確かめた資料の中には見つかりませんでした。年齢よりも、手に合うサイズと、楽しく続けられる出会い方のほうが、大きな手がかりになりそうです。
国の資料は、音楽の「楽しさ」を大切にしている
まず、幼い子どもの音楽について、国の資料がどう書いているかを見ておきます。
文部科学省の幼稚園教育要領(平成29年告示)には、領域「表現」があります。その「内容」には、音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりする楽しさを味わう、という項目が入っています[1]。厚生労働省の保育所保育指針でも、3歳以上の「表現」に、同じ趣旨の内容があります。1歳以上3歳未満では、音楽やリズム、それに合わせた体の動きを楽しむこと、歌を歌ったり手遊びを楽しんだりすること、が挙げられています[2]。
「内容の取扱い」には、子どもの素朴な表現を大人が受けとめることや、表現する過程を大切にして、自己表現を楽しめるようにすること、といった考え方が書かれています[1]。上手に弾けたかという結果より、音を出して楽しむ経験そのものを大切にする、という姿勢です。
ただし、これらの資料はウクレレという楽器を挙げていません。「何歳から楽器を」とも決めていません。ここから言えるのは、小さいころは「音を楽しむ」経験が大切にされている、というところまでです。
では、「何歳から」なのか
ウクレレの解説に目を向けると、年齢の言い方は、資料によってまちまちでした。
- UkuTabsの子ども向けの解説は、「よくすすめられるのは6歳前後」とし、指を連動させる動きと集中力が必要だから、と理由を書いています。それより小さい子には、おもちゃのように触れて楽器に慣れる方法もよい、としています[3]。
- 小学館の育児情報メディアHugKumの記事は、小学1年生が楽器を習い始める好機だと述べ、手指が器用になり、楽譜から音楽を理解する力が伸びる時期だからと説明しています[9]。ただしこの記事は、ヤマハ音楽振興会が協力したPR記事です。確かめた範囲では、年齢の根拠になる調査は示されていませんでした。
- 島村楽器の店舗のウクレレ記事には、年齢の制限は書かれていません。小さくて持ちやすく、手の小さな人や子どもでも無理なく弾ける、という書き方でした[7]。
このように、どれも「この年齢でなければ始められない」という基準ではなく、資料ごとの見方や立場のちがいです。このページでも、年齢は断定しません。
年齢のかわりに、見ておきたいこと
UkuTabsは、指の連動と集中力が必要だと書いていました[3]。これをもとに、年齢のかわりに見てみたい点を挙げます。資料が決めた基準ではなく、筆者がまとめた目安です。
- ウクレレを、胸とうでで抱えられる体の大きさか。
- 弦をはじいたり、指でおさえたりする動きに、興味を持っているか。
- 数分のあいだ、楽しく音と向き合えるか。
まだ難しそうなら、触って音を鳴らすだけの「あそび」から始めて、また時間をおいても構いません[3]。
サイズの選び方
ウクレレには、主に4つのサイズがあります。小さいほうから、ソプラノ、コンサート、テナー、バリトンです[4][5]。島村楽器の店舗の記事では、全長はそれぞれ約53cm、約60cm、約67cm、約76cmと書かれています[6]。UkuTabsも、ソプラノは全長約53cm、バリトンは約76cmとしていて、数字がそろっています[4]。
子どもには、どれが向くのでしょうか。楽器店の記事は、ソプラノを、小さくて持ちやすく、手の小さな人や子どもでも無理なく弾ける、としています[7]。別の店の記事にも、小ぶりなので子どもや女性にはソプラノがおすすめ、とあります[8]。UkuTabsは、子どもや手の小さい人はソプラノかコンサートが向く、としています[4]。
ソプラノについては、弦の張りがゆるく、押さえやすいという説明があります[5]。ナイロンの弦なので、指が痛くなりにくいという紹介もあります[6]。また、ソプラノよりさらに小さいサイズ(ピッコロ)もありますが、店の記事ではサブの楽器として紹介されています[5]。成長したら、ソプラノからコンサートに移ることもできます[3]。
サイズの数字(とくに弦の長さ)は、資料によって少しちがいます。たとえばソプラノの弦の長さを、ある店の記事は約345mm[5]、UkuTabsは約33cm[4]と書いています。メーカーや機種でも変わるので、買う前に店で実際に抱えて確かめるのが安心です。島村楽器の記事も、店での試奏をすすめています[7]。
試すときは、ウクレレを抱えたとき、右腕でボディをささえられるか、左手がネックのつけ根に楽に届くかを見てみてください。構え方の基本は、ウクレレの持ち方と右手の弾き方にまとめています。
飽きずに続ける工夫
ここで紹介するのは、UkuTabsの子ども向けガイドに書かれた工夫です。効果を調べた研究ではなく、教え方の解説として書かれたものなので、「ためしてみる価値のある一般的な工夫」として読んでください[3]。
- 短く、こまめに。10分から30分を、毎日か1日おきに。週に1回の長い練習より、短く頻繁なほうがよい、とされています。
- 小さな成功で終える。1回ごとに、「できた」という気持ちで終わるようにします。
- 曲は子ども自身に選ばせる。
- ゲームにする。コードのビンゴや、早がわりの競争などの例が挙げられています。
- 無理強いしない。興味が減ってきたら、いったん距離をおく、という考え方です。
ウクレレはじめ帳には、こうした考え方に近い作りがあります。最初の曲は、音を1つずつ光らせて、目で追いながら弾けます。弦や音をタップすると、お手本の音が鳴ります。ステップごとに「できた」ボタンがあり、進み具合が見えるので、小さな「できた」を積み重ねやすくなっています。
家庭では、たとえば「今日は音合わせだけ」「今日は1小節だけ」のように、ゴールを小さく決めてみるのもひとつです。決まった形はないので、お子さんの様子に合わせて、変えてください。
親が弾けなくても、見守れること
「自分は弾けないから、教えられない」と思う方もいると思います。
先ほどの資料で、大人の役割として書かれていたのは、教えこむことより、子どもの表現を受けとめ、表現しようとする気持ちを支えることでした[1][2]。これらの資料が親のことを直接述べているわけではありませんが、筆者は、弾けない保護者にも家庭でできることはある、と考えています。たとえば、次のようなことです。
- 聞く。「1回、聞かせて」と声をかけて、そばで聞きます。上手かどうかより、音を出したことを受けとめます。
- いっしょに画面を見る。ウクレレはじめ帳のお手本の音を、いっしょに聞くだけでも十分です。
- できたところを言葉にする。「今日は2つ目の音まで出たね」のように、具体的に。
- 時間を決めて、終わりにする。短く区切ると、続けやすくなります[3]。
- いっしょに1音から試す。大人も同じ順番で、1つずつ弾いてみると、「わからない」を共有できます。
UkuTabsの子ども向けガイドは、教える大人が、ある程度弾けることを前提にしているようにも読めます(はっきりした記述はありません)[3]。島村楽器の教室紹介の記事は、独学より、講師から習うことをすすめています[6]。家で見守るだけでむずかしいと感じたら、教室や楽器店のスタッフに相談するのも、ひとつの方法です。
よくある疑問
何歳から始められますか?
決まった基準は、確かめた資料の中には見つかりませんでした。「6歳前後」とすすめる解説[3]や、「小学1年生」を好機とする記事[9]はありますが、ほかの見方もあります。体の大きさ、動きへの興味、集中できる時間を見ながら、お子さんに合わせてください。気になることがあれば、園や学校の先生、習い事の先生に聞いてみてください。
手が小さくて、指でおさえにくそうです。
ソプラノは弦の張りがゆるく、押さえやすい、という説明があります[5]。ただ、感じ方には個人差があります。店で試奏して、スタッフに相談するのが安心です[7]。
習い事に通わせたほうがいいですか?
楽器店の記事は、独学より講師の指導をすすめています[6]。一方で、家で気軽に始めて、様子を見てから決める、という進め方もあります。どちらが合うかは、お子さんと家庭によって変わります。
参考にした資料
- 文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示。領域「表現」の内容に、音楽に親しみ、歌を歌ったり簡単なリズム楽器を使ったりする楽しさを味わう項目があること、「内容の取扱い」に、表現を受けとめることと表現する過程を大切にすることが書かれていることを確認)
- 厚生労働省「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号。1歳以上3歳未満児の「表現」に、音楽、リズム、それに合わせた体の動きを楽しむこと等があること、3歳以上児の「表現」に、幼稚園教育要領と同じ趣旨の内容があることを確認)
- UkuTabs「子どもにウクレレを教える方法」(個人が運営するウクレレ学習サイト。「6歳前後」の記述とその理由、ソプラノからコンサートへの移行、短く頻繁な練習、小さな成功で終える、曲を選ばせる、ゲーム形式、無理強いしない、という記述を確認)
- UkuTabs「ウクレレのサイズ比較」(ソプラノの全長約53cm・弦長約13インチ(約33cm)、バリトンの全長約76cm、子どもや手の小さい人にはソプラノかコンサート、という記述を確認)
- 島村楽器 モレラ岐阜店「失敗しないウクレレの選び方」(ソプラノの弦長約345mm、弦のテンションが弱く押さえやすい、ピッコロはサブ楽器、という記述を確認)
- 島村楽器 イオンモール広島祇園店「ウクレレ教室の紹介記事」(ソプラノ約53cm・コンサート約60cm・テナー約67cm・バリトン約76cm、ナイロンの弦で指が痛くなりにくい、独学より講師の指導をすすめる、という記述を確認)
- 島村楽器 mozoワンダーシティ店「子ども向けウクレレ選びの記事」(ソプラノは小さくて持ちやすく、手の小さな人や子どもでも無理なく弾ける、年齢制限の記載はない、店での試奏をすすめる、という記述を確認)
- 島村楽器 パークプレイス大分店「ウクレレ選びで迷ったら?サイズ&素材の特徴」(小ぶりなので子どもや女性にはソプラノから、という記述を確認。全長・弦長の数字は載っていない)
- HugKum(小学館)「楽器を習い始める年齢についての記事」(ヤマハ音楽振興会の協力によるPR記事。小学1年生を好機とする記述とその理由を確認。年齢の根拠になる調査の記載は確認できなかった)
この記事について:上の資料は、実際にページを開いて確かめました。幼稚園教育要領と保育所保育指針は、ウクレレを含め特定の楽器にはふれておらず、「何歳から」という基準も定めていないため、この記事でも年齢は断定していません。ヤマハ音楽教室のウクレレコースのページは、年齢や内容の記載を確認できず、根拠にしていません。楽器メーカー・音楽教育団体の公式な「子どもとウクレレ」の解説は、見つけられていません。サイズの数字は、店や学習サイトの記載によるもので、機種で変わります。「年齢のかわりに見ておきたいこと」と「親が弾けなくてもできること」は、筆者の考えです。図は筆者が描いたもので、数字の計算はしていません。専門家(保育者・音楽教育の先生)の監修は受けていません。お子さんの発達や体の不安は、園や学校の先生、専門の機関にご相談ください。内容に誤りがあれば、お知らせください。