DRUMS & PERCUSSION FOR BEGINNERS
リズムはじめ帳
ドラムのリズムは、低い「ドン」、中くらいの「タン」、高い「チッ」の3つの音でできています。この3つを覚えれば、鍋や机、バケツでも同じリズムを刻めます。アイドルソングやEDMの「あの盛り上がる感じ」と、ジャズの「なんとなく規則性がある感じ」も、あとで言葉にできます。
押すと音が鳴ります。iPhoneは消音スイッチが入っていると鳴りません。
パソコンなら、Dキーがドン、Fキーがタン、Jキーがチッです。
- 上の3つを押して、音を覚える。
- リズム一覧で再生して、マスをタップして遊ぶ。
- 机や鍋で真似して、叩けたらチェックを付ける。
3つの音と、おうちの代わり
本物のドラムセットは、この3つの音を別々の楽器で出しています。家にあるもので代わりになるものも一緒に並べました。
バスドラム低い音
大きな太鼓を、足のペダルで踏んで鳴らします。曲の土台になる音で、1拍目と3拍目に入ることが多いです。
おうちでは逆さにしたバケツの底、段ボール箱、床を足で踏む。
スネアドラム中くらいの音
小太鼓です。裏側に金属の線が張ってあり、ジャッと響きます。2拍目と4拍目に入ることが多く、ノリを決める音です。
おうちでは机の真ん中(タオルを敷く)、フライパンの底、ちゃぶ台。
ハイハット・ライド高い音
金属の円盤です。細かく刻んで、曲の速さを知らせる役目をします。
おうちでは鍋のふち、金属のボウル、空き缶を箸やスプーンで。
おうちの音はブラウザで作ったイメージです。実際の音は物によって変わります。
リズムのルール
リズムの種類が違っても、土台になる決まりは同じです。ここを知っていると、一覧の見え方が変わります。
拍と小節
数えるときは「1・2・3・4」で、この4つで1小節です。ほとんどの曲は、この4拍の枠が何回も繰り返されます。
表と裏
拍の頭を「表」、拍と拍のあいだを「裏」と呼びます。数えるときは「1 と 2 と 3 と 4 と」と言い、「と」が裏です。ハイハットは、この表と裏を全部叩いて細かく刻むことが多いです。
土台とバックビート
ドンは1拍目と3拍目で土台をつくり、タンは2拍目と4拍目で「ズン、タン」と返します。この2・4拍目の強い音を「バックビート」と呼びます。ポップスやロックの多くはこの形です。
3連(さんれん)
1拍を2つではなく3つに割る数え方です。「1 と ら 2 と ら」と数えます。シャッフルやスウィングはこの感覚で、跳ねたノリが出ます。
フィル
4小節や8小節の終わりに入れる、飾りの連打です。「次の区切りが来るよ」という合図の役目があります。終わったあとの頭にシンバルを入れて締めることが多いです。
楽器図鑑
ドラムセットのパーツと、手で叩くパーカッションを、叩き方と一緒に並べました。「音を聞く」を押すと鳴ります。
ドラムセット
バスドラム足で踏む
ペダルを踏んでビーターを皮に当て、すぐ戻します。当てっぱなしにすると音がこもります。拍の土台で、1拍目と3拍目に多く入ります。
スネアドラム小太鼓
皮の中央を叩きます。皮とふちを同時に叩く「リムショット」は大きく鋭い音になります。スティックを寝かせてふちだけを叩く「クロススティック」は「コッ」という乾いた音で、バラードやボサノバに向きます。
ハイハット足で開け閉め
2枚のシンバルを重ね、足のペダルで開け閉めします。閉じて叩くと「チッ」、少し開けると「シャーン」と伸びます(オープン)。足で踏むだけでも「チッ」と鳴ります。
ライドシンバル大きめのシンバル
表面を叩くと「チン」と粒立ちます。中央の盛り上がり(ベル)は「カーン」と硬く、ふちを叩くと「ガシャーン」と広がります。ジャズでは右手の主役です。
クラッシュシンバル締めの音
ふちを斜めにかすめるように叩くと「ジャーン」と響きます。フィルの終わりや、曲の展開の頭で使います。
タム・フロアタム回す太鼓
胴の大きさで高さが変わる太鼓です。フィルで、高い方から低い方へ順に回します。
パーカッション
カホン箱に座って叩く
箱の上に座り、前面の板を手のひらで叩きます。中央は低い「ドン」、上のふち近くは高い「パン」。1台でバスドラとスネアの役ができます。
コンガ縦長の太鼓
手で叩きます。手のひらで皮を押さえて短く鳴らす「ミュート」、ふちのあたりを叩いて響かせる「オープン」、指を鋭くはじく「スラップ」で音が変わります。
ボンゴ小さな2つ組
2つの小さな太鼓を膝にはさみ、指と手のひらで叩きます。高い方と低い方で音程が違い、軽快に細かく刻めます。
タンバリン振る・叩く
ふちの金属板(ジングル)が鳴ります。振る、手のひらや膝で叩く、を使い分けます。8ビートで2拍目と4拍目を強く叩くと、曲が締まります。
シェイカー振る
中に粒が入った容器を振ります。腕ではなく手首を前後に動かし、拍の頭を少し強くします。
クラベス木の棒2本
硬い木の棒を2本打ち合わせます。片方を手のひらで軽く包むように持つと、中が響いてよく鳴ります。
カウベル金属の鐘
金属の鐘をスティックで叩きます。「カン」と抜ける硬い音で、ラテン音楽やファンクで拍を目立たせます。
おうちキット図鑑
家にあるもので、ドン・タン・チッの代わりになるものです。右の色の札が、出る音の高さです。
逆さのバケツ
底を手のひらで叩きます。プラスチック製は音が丸く、金属製は大きく響きます。
段ボール箱
ガムテープで閉じた箱の側面を手で叩きます。カホンに近い音で、中央が低く、ふち寄りが高くなります。叩きすぎると潰れます。
クッション
足踏みや手で叩きます。音がとても小さいので、夜の集合住宅に向いています。
机
真ん中を叩くとタンの代わりになります。傷がつかないようにタオルかランチョンマットを敷きます。
フライパンの底
「コン」と硬い音がします。使い古しを選んで、強く叩きすぎないようにします。
ステンレスのボウル
伏せて置き、ふちと中央で音の高さが変わります。
鍋のふち・ふた
菜箸やスプーンで叩きます。ふたは取っ手を持つと、よく響きます。
空き缶
軽い「カン」という音です。口のふちで指を切らないように、気をつけます。
ペットボトル
空のままだと「ポコッ」と鳴ります。お米を大さじ1ほど入れて蓋を閉めれば、シェイカーになります。
菜箸・木べら
スティックの代わりです。太めで、握りやすいものが叩きやすいです。
避けたいもの
ガラスや陶器は割れるので使いません。壁や家具、スマホやテレビの近くで叩くのも避けます。
叩き方の基本
持ち方と力の抜き方を知っておくと、どの道具でも音がきれいに出ます。
持ち方
支点を親指と人差し指で軽くつまみ、残りの指は添えるだけにします。強く握ると手首が固まって、音が硬くなります。
跳ね返り
叩いたら力を抜いて、スティックが跳ね返るのに任せます。打面に押しつけたままにすると、音がつまります。
音量
小さい音は低い位置から、大きい音は高く振りかぶって。力を込めるのではなく、振り幅で変えます。
叩く位置
真ん中は太く低い音、ふちに近いほど高くて硬い音になります。机や鍋でも同じです。
右と左
迷ったら右・左・右・左と交互に。片手だけだと疲れて、音の大きさがばらつきます。
おうちで
夜は手のひらや指で、音量を小さく。手首が痛くなったら休みます。
手の順番(スティッキング)
右と左の出し方にも名前があります。ステレオで聞くと、右手は右から、左手は左から鳴ります。
7日メニュー
何から叩けばいいか迷ったら、この順番で。1日10〜15分の目安です。カードの「叩けた」を押すと、ここにも済のしるしが付きます。
リズム一覧
マスをタップすると音を足したり消したりできます。左の名前をタップすると、その楽器だけ消せます。下の「ドン・タン・チ」は口で言うための読みで、「・」は休みです。
フィル入門
8ビートを1小節叩いたあと、2小節目の最後の拍だけ変えると、フィルになります。ループの頭にシンバルが入って、区切りがはっきり分かります。
アイドルソングとEDMのリズム
ライブで盛り上がる曲のリズムには、はっきりした特徴があります。ここでは日本のアイドルソングとEDMに絞って、土台のパターンと、曲の組み立て方を見ます。曲の組み立ては一般的な傾向で、曲によって違います。
アイドルソング
テンポ
130〜170くらいの速い曲が多く、元気で前向きなノリになります。数えるときは、半分の速さで数えると追いやすいです。
土台は2系統
バンドサウンド寄りの速い8ビートと、電子音が中心のテクノポップの4つ打ち(Perfumeなどが代表例)が、よく使われます。
手拍子
2拍目と4拍目に、スネアと同時に手拍子の音(クラップ)を重ねて、明るくにぎやかにします。
サビ前の盛り上げ
サビの直前に、スネアの連打で盛り上げたり、一瞬音を止めたりします。止めた次の瞬間にサビが入ると、気持ちよく聞こえます。
落ちサビとラスサビ
最後のサビの前に、音数を減らして静かにする「落ちサビ」を入れる曲が多くあります。そのあとのラスサビで、キーが半音から全音ほど上がる「転調」が入ることもあります。
ライブのコール
ライブでは、ファンの掛け声(コール)や手拍子が、イントロや間奏の拍に合わせて入ります。拍を数えられると乗りやすくなります。
曲の流れの一例
- イントロ
- Aメロ
- Bメロ
- サビ前(ブレイク)
- サビ
- 間奏(コール)
- Aメロ
- Bメロ
- サビ
- 落ちサビ
- ラスサビ(転調)
- アウトロ
サビ前のスネア連打は、フィル入門の「サビ前のビルドアップ」で叩けます。
叩いてみる
EDM
テンポの目安
ハウスは118〜130、テクノは120〜150、トランスは130〜140、ダブステップは140、ドラムンベースは170台です。ジャンルごとに、テンポの帯がほぼ決まっています。
4つ打ち
キックが1小節に4回、全部の拍に入ります。「ドン・ドン・ドン・ドン」の一定のノリで、踊りやすくなります。
裏のオープンハット
拍と拍のあいだ(裏)で、ハイハットが開いて「チー」と鳴ります。「ドン・チー・ドン・チー」と交互に聞こえます。
8小節の区切り
曲は8小節の倍数で区切られます。イントロ、ビルドアップ、ドロップ、ブレイクダウンを、決まった長さで切り替えます。
ビルドアップ
スネアの連打が4分、8分、16分とだんだん細かくなり、上昇する音(ライザー)が重なって、期待を高めます。
ドロップ
ビルドアップのあと、一瞬の無音をはさんで、キックとベースが戻ってくる部分です。曲でいちばん盛り上がります。
サイドチェイン
キックが鳴る瞬間に、ほかの音の音量を一瞬下げる効果です。ポンプのように息づくノリが出ます。
ハーフタイム系
トラップやダブステップは、テンポが140でも、スネアが3拍目だけに入って、ゆっくり重く聞こえます。
ドラムンベース
170台の速さで、キックとスネアがジグザグに入ります(2ステップ)。ハイハットは細かく刻み続けます。
曲の流れの一例
小節数は一例です。曲によって長さは変わります。
ビルドアップからドロップまで聴く
叩いてみる
練習する
聴くだけでなく、叩いて確かめる道具を3つ置きました。画面をタップするだけなので、道具はいりません。
タップ判定チャレンジ
1小節のカウントのあと、4小節のあいだ、選んだパートだけを自分で叩きます。ほかのパートは鳴ります。叩いたタイミングのずれを判定します。
Bluetoothイヤホンは音が遅れて届くので、判定が遅めに出ます。スピーカーか有線のイヤホンがおすすめです。
リズム聴き分けクイズ
鳴っているリズムの名前を当てます。全5問です。
曲のテンポをはかる
好きな曲を流しながら、拍に合わせてボタンを押し続けてください。2回以上押すとテンポが出ます。
曲の速さから、ジャンルの目安が出ます。
ジャズドラムの仕組み
ライドで時間を刻み、足で2拍目と4拍目を踏み、空いた手でバンドに話しかける。
友達に説明するときは、この一文で足ります。以下は、その中身です。
ジャズのドラムは、右手、左手、左足、右足がそれぞれ別の役目を持っています。名前をタップして、1つずつ重ねて聞いてみてください。
ライド(チン・チン・チ)
曲の時計役です。1拍を3つに割り、拍の頭に「チン」を鳴らします。2拍目と4拍目のあとには、もう1つ「チ」を足します。この跳ねるノリがスウィングです。
ハイハット(チッ)
2拍目と4拍目でペダルを踏んで閉じ、「チッ」と鳴らします。手拍子を打つなら、この2と4です。
バスドラム(ド)
4拍ともごく軽く踏みます。音を聞かせるというより、ベースと一緒に低い土台をつくる役目です。
スネア(タッ)
決まったパターンはありません。ソロや他の楽器に反応して、合いの手を入れます。ドラマーの個性が出るのはここです。
12小節を通して聴く
ブルースは12小節の枠が何周も回ります。ドラム、ベース、フィルを全部鳴らして、区切りの前に何が起きるか聞いてみてください。コードは分かりやすく簡略化してあります。
規則性がある気がする理由
跳ねる3連のノリ
ふつうの8ビートは1拍を2つに割ります。スウィングは3つに割って、1つ目と3つ目を鳴らします(ターッタ、ターッタ)。リズム一覧のシャッフルと同じ感覚です。テンポがとても速いと、跳ねはほとんど目立たなくなります。
同じ長さの枠が何周も回る
12小節のブルースや、32小節のAABAなど、決まった長さの枠を繰り返します。ドラムは4小節や8小節の終わりでフィルを入れて、次の区切りを知らせます。
4小節ずつの交代
ソロ回しでは、他の楽器とドラムが4小節ずつ交互に演奏する「4バース」がよく出てきます。
次に聴くとき、追ってみるところ
- ライドの「チン・チン・チ」だけを追う。
- 2拍目と4拍目で手拍子を打つ。ハイハットの音と重なります。
- 小節を数えて、12か32で元に戻るか確かめる。
- 区切りの直前に、ドラムが何をしているか聞く。
- ソロ回しの部分で、4小節ごとに演奏者が替わっていないか聞く。
聴いてみたいドラマー
ドラム譜の読み方
ドラムの譜面は、楽器ごとに書く高さが決まっています。上の段ほど高い音の楽器で、バツ印はシンバル類、丸い音符は太鼓類です。リズム一覧のマスは、この譜面を簡単にしたものです。
練習の順番
- 口で「ドン チ タン チ」と言いながら、手拍子と足踏みで8ビート。足がドン、手拍子がタンです。
- 机、バケツ、鍋で8ビート。右手がチッ、左手がタン、足がドン。ゆっくり、テンポ70前後から。
- 4つ打ちと16ビートで、チッの細かさとドンの位置を変えてみる。
- シャッフルとワルツで、跳ねる感じと3拍子をつかむ。
- ボサノバとクラーベで、決まった位置のズレを数える。
- フィルを入れて、2小節の区切りを作る。
- ジャズのライドに進む。まず右手だけ、次に足のハイハットを足す。
買い足すなら
どれも、最初からそろえる必要はありません。机や鍋で叩けるようになってから、足りないと感じたものを選んでください。
スティック
「5A」が標準的な太さで、最初の1組に向いています。7Aはそれより細めです。
練習パッド
ゴムの面を叩く、音の小さい練習台です。夜の練習や、手首の使い方の練習に向いています。
ブラシ
金属の細い線の束で、ジャズのバラードで使われます。円を描くようにこすって、さらさらした音を出します。
カホン
箱形の打楽器です。座って叩くので、スティックを使わずに、ドンとパンの練習ができます。
用語集
- 拍
- リズムの基本の1つぶ。「1・2・3・4」と数える。
- 小節
- 拍をまとめた区切り。4拍子なら4拍で1小節。
- BPM(テンポ)
- 1分間に何拍あるか。数字が大きいほど速い。
- 表拍・裏拍
- 拍の頭が表、拍と拍のあいだが裏。
- バックビート
- 2拍目と4拍目の強い音。スネアが担当することが多い。
- 8ビート
- 1拍を2つに割った8分音符で刻むリズム。1小節に8つ。
- 16ビート
- 1拍を4つに割って刻むリズム。細かくてノリが出る。
- 3連符
- 1拍を3つに割った音。シャッフルやスウィングの元になる。
- スウィング
- ジャズの跳ねるノリ。3連符の1つ目と3つ目を鳴らす。
- シャッフル
- ブルースなどの、跳ねるリズム。
- フィル
- 区切りの前に入れる飾りの連打。オカズとも呼ぶ。
- ブレイク
- 全員が一瞬止まる演出。
- ゴーストノート
- 聞こえるか聞こえないかくらいの、ごく小さい音。ノリを細かくする。
- アクセント
- その音だけ強く叩くこと。
- ロール
- 細かく連続で叩いて、音を伸ばすように聞かせる奏法。
- リムショット
- スネアの皮とふちを同時に叩く奏法。大きく鋭い音。
- クロススティック
- スティックを寝かせて、スネアのふちを叩く奏法。「コッ」という音。
- オープン・クローズ
- ハイハットを開けて響かせるか、閉じて短く鳴らすか。
- クラーベ
- ラテン音楽の土台になる、決まった位置で打つ5つの音のパターン。
- 4バース
- ソロ回しで、4小節ずつ演奏者が交互に替わること。