ウクレレの弦の種類・交換時期・保管とお手入れ
ウクレレの弦は、消耗品です。使っているうちに少しずつ古くなり、音がぼやけたり、チューニングがずれやすくなったりします。このページでは、弦の素材(ナイロンやフロロカーボンなど)、交換の目安、湿度や温度に気をつけた保管のしかた、ふだんのお手入れを、確かめた資料にもとづいてまとめました。交換の時期は、弾く量や好みで変わるので、「この日に替える」とは決めず、目安として読んでください。
弦の素材 ナイロン・フロロカーボン・ナイルガット
ウクレレ用の弦には、いくつかの素材があります。楽器店の解説では、ナイロン、フロロカーボン、ナイルガット、チタニウムなどが紹介されています[1]。また、植物由来の原料を使った弦や、金属を巻いた弦があることも、弦メーカーの解説からわかります[6]。
素材ごとの特ちょうを、次の図にまとめました。音の感じ方には個人差があり、同じ素材でも、メーカーやモデルによって違います。「この素材が正解」というものではないので、あくまで傾向として見てください。
ナイロンとフロロカーボンの違い
ウクレレ専門誌の解説では、ナイロンは素材の密度がいちばん低いので、そのぶん弦が太くなり、音はあたたかいと説明されています。フロロカーボンは密度が高く、弦が細くなる、とされています[3]。楽器店の解説では、ナイロンは柔らかい音色でお手頃、フロロカーボンはハッキリした音色で耐久性に優れる、とあります[1]。
ナイルガットと巻き弦
ナイルガットは、ある弦メーカーの独自素材とされ、少し明るい音になる、と説明されています[3]。楽器店の解説では、環境の変化に強い、ともあります[1]。巻き弦は、ローG(4弦を1オクターブ下げる調弦)で使われることが多く、音量や存在感が出やすいとされます[3]。ローGは、別の記事「ウクレレのチューニング」でも説明しています。
どれを選ぶか
はじめてなら、今ついている弦を、そのまま使って問題ありません。張り替えるときは、パッケージに書かれた楽器のサイズ(ソプラノ・コンサート・テナーなど)と、ハイGかローGかを確かめます(一般的な確認ポイントで、今回の資料では直接確認していません)。「どれが合うかわからない」ときは、楽器店で聞いてみると、手がかりになります。
弦の交換時期は、どのくらい?
交換の目安は、資料によって幅があります。楽器店の解説では、よく弾く人は3か月に1回ほど、ふつうなら半年〜1年に1回が理想、とされています[1]。別の楽器店の解説でも、たくさん弾く人は3か月が目安とあります[2]。ウクレレ専門誌は3〜6か月[3]、海外のウクレレ情報サイトの筆者は、自分は4〜6か月ごとに替えていると書いています[4]。
どれも「目安」で、実際は、使う頻度や弾き方の強さで変わる、と説明されています[4]。たくさん弾く人と、たまに弾く人とでは、同じ期間でも弦の古びかたは違うはずです。月数だけで決めず、次のサインも手がかりにしてください。
交換を考えたいサイン
- 音がぼやける・さえない 弦が古くなると、音がにぶく聞こえる、とされています[3]。ただ、少しずつ変わるので、交換してはじめて気づく人も多いようです[3]。
- 音程がずれやすい チューニングをしても、すぐ狂ってしまう。古い弦の特ちょうとして紹介されています[1]。ある資料は、音が高めにずれてくることもあると説明します[3]。
- 見た目や手ざわりが変わった 弦に傷が目立つ、指でなぞるとでこぼこしている。楽器店の解説で、交換の目印にあげられています[1]。
- チューニングの回数がふえた 合わせ直す回数が増えた、というのも目安にされています[4]。
- 切れた 1本でも切れたら、すぐ交換する、と書かれています[3]。
替えるときは、4本まとめて
弦を替えるときは、4本まとめて替えるのがよい、という説明があります[4]。1本だけ新しいと、音のバランスがくずれるためです。ギターのメーカーの手引きにも、1本ずつでなくセットで替えると、音のバランスが保てるという、同じ考え方が書かれています[7]。
張り替えた直後の弦は、のびるので、音がずれやすくなります。くわしくは、チューニングの記事の「新しい弦は、音がずれやすい」を読んでみてください。自分で張るのが不安なときは、楽器店で張り替えてもらう方法もあります。
保管のしかた 湿度と温度に気をつける
ウクレレは、木でできた楽器です。木は、空気の湿り気で、のび縮みします。ある資料は、湿気を吸うと木がふくらんで、ネックが反ったり、音程がずれたりし、逆に乾燥しすぎると、木がちぢんで割れることもある、と説明しています[4]。楽器店の解説でも、乾燥しすぎると、ひび割れやフレットの端が出る、ネックの反りが出ることがあり、湿気が多すぎると、金属のさびやカビが出ることがある、とされています[2]。
では、どのくらいの湿度がよいのでしょうか。資料の数字を並べてみます。
楽器店の解説は40〜60%[2]、海外のウクレレ情報サイトは45〜55%[4]で、重なるのは45〜55%です。ギターのメーカーの手引きにも、湿度45〜55%、温度は華氏72〜77度という記載があります[7]。華氏72〜77度は、自分で計算すると、およそ22〜25℃です。ただし、これはギター向けの資料なので、ウクレレにそのまま当てはまるかは、確かめられていません。
ウクレレのメーカーの解説(Kamaka)には、湿度や温度の数字は書かれていません。かわりに、無垢の木のウクレレは温度や湿度に敏感で、ゆるやかな変化は大丈夫でも、急な変化は避けたほうがよい、とあります[5]。
家庭でできる、保管の工夫
- ケースに入れる ハードケースは、急な温度や湿度の変化と、ぶつかる衝撃から守る、とメーカーは説明しています[5]。持ち運びが多いならハードケース、家の中が中心ならソフトケース(ギグバッグ)で足りる、という考え方もあります[4]。
- 置き場所を選ぶ ヒーターなど、熱の出るものの近くは避ける[5]。日光や、エアコンの風が直接当たる場所も避ける[2]。
- 車の中に置きっぱなしにしない ギターのメーカーの手引きには、トランクは温度の変化が大きいので、楽器をのせないように、とあります[7]。夏の車内などは、とくに注意が必要です。
- 乾燥と湿気に備える 乾燥するときは、楽器用の加湿グッズ。湿気が多いときは、除湿機や、ケースにシリカゲルを入れる方法が紹介されています[4]。湿度計を近くに置くと、いまの湿度がわかります(湿度計は一般的な工夫で、資料では確認していません)。
- 長く弾かないとき 弦を1音ほど緩めて保管する、という案内が楽器店の解説にあります[2]。ギターのメーカーの手引きにも、長く弾かないときは緩める、という記載があります[7]。どのくらい緩めるかの細かい決まりは、確かめられていません。
ふだんのお手入れ
弾いたあとは、やわらかい乾いた布で、弦やボディをさっとふくと、手の汗や、ほこりがとれます。メーカーの解説では、ラッカー塗装の楽器は、少しだけしめらせた布でふくこと(ぬらさない)、ふだんのつや出しは、100%綿のやわらかい乾いた布で、とされています[5]。ワックス入りの商品は避けるように、とも書かれています[5]。
指板(指でおさえる部分の板)に塗るオイルについては、資料によって頻度が違います。楽器店の解説は、最低でも3か月に1回ほど、ただし塗りすぎもよくないので、間をあけるように[2]、海外の情報サイトは、4〜6か月ごとに軽く塗る[4]、としています。楽器や指板の材質で扱いが変わるかもしれないので、取扱説明書があれば、まずそちらを確かめてください。わからないときは、楽器店に聞くと安心です。
お手入れの習慣は、むずかしく考えず、小さく続けるのがおすすめです。
- 弾いたあとに、布でさっとふく
- 使わないときは、ケースやバッグに入れる
- 弦を張った日をメモして、3〜6か月めに、状態を見直す
- 音がさえない、ずれやすいと感じたら、弦を見てみる
ここに書いた習慣は、資料の内容をもとにした一般的な心がけです。毎回できなくても大丈夫です。気づいたときに、少しだけ手をかけてあげれば、十分です。
よくある疑問
弦が切れていなくても、替えたほうがいいですか?
切れていなくても、音がさえない、ずれやすい、といったサインが出たら、替え時かもしれません[1]。ただし、「必ずこの時期」と決まったものではありません。気になるときは、楽器店で、弦の状態を見てもらうこともできます。
1本だけ切れたら、その1本だけ替えてもいいですか?
1本だけでも、まず替えることは、資料で勧められています[3]。そのうえで、ほかの弦も使っていて古いなら、4本まとめて替える、という考え方があります[4]。
新品の弦で、すぐにチューニングが狂うのは故障ですか?
故障ではありません。張りたての弦は、のびるので、最初は合わせ直しが必要になります[8]。
ケースは必ず必要ですか?
必須とは限りません。使い方や持ち運びの多さで、選び方が変わります[4]。ただ、急な温度・湿度の変化や、ぶつけるのを防ぐ点では、ケースが役に立つとメーカーは説明しています[5]。
参考にした資料
- 島村楽器「ウクレレの弦交換について」(楽器店の解説。ナイロン・フロロカーボン・ナイルガット・チタニウムの紹介と音色の特ちょう、交換の目安=よく弾く人は3か月、ふつうは半年〜1年、傷や手ざわりの変化、古い弦は音程が狂いやすいことを確認)
- 島村楽器「ウクレレのお手入れ 日頃のメンテナンスでトラブル防止」(楽器店の解説。湿度40〜60%、乾燥・多湿のトラブル、日光とエアコンの風を避けること、たくさん弾く人は弦の交換3か月、指板オイルは最低3か月ごと、長く弾かないときは弦を1音ほど緩めること、を確認)
- Ukulele Magazine「How to Choose and Install a New Set of Strings for Your Ukulele」(ウクレレ専門誌。ナイロン・フロロカーボン・ナイルガット・巻き弦の説明、交換は3〜6か月、古い弦は音がさえず音程が高めにずれること、切れたらすぐ交換、を確認)
- UkuTabs「ウクレレのお手入れ」(ウクレレ情報サイト。湿度45〜55%、木の膨張・収縮による影響、加湿・除湿の方法、弦の交換サインと筆者は4〜6か月、4本まとめて替えること、ケースの選び方、指板オイルを4〜6か月ごと、を確認。個人・サイトの見解を含む)
- Kamaka Hawaii「Maintaining Your Ukulele」(ウクレレメーカーの公式ページ。ケースの役割、無垢材は温度・湿度に敏感、急な変化を避けること、熱源から離すこと、ふき方、を確認。湿度や温度の具体的な数字は載っていない)
- Kala Brand「Ukulele Strings 101」(ウクレレメーカーの解説。ナイルガット、植物由来のバイオナイロン、フロロカーボン、巻き弦などの種類があることを確認。交換時期や湿度については書かれていない)
- Martin Guitar「Care and Feeding Guide」(ギターのメーカーの手引き。ウクレレ向けではない。湿度45〜55%・温度華氏72〜77度、トランクに置かないこと、長く弾かないときは緩めること、弦はセットで替えることを確認)
- UkuTabs「ウクレレのチューニング」(張り替えた弦は1週間ほどのび続け、合わせ直しが必要になることを確認)
この記事について:[1]〜[8]は実際にページを開いて、上に書いた内容を確認しました。交換時期や湿度の数字は、資料によって違い、公的な基準や、ウクレレ全体に共通する決まりは確認できていません。ギターの手引き[7]の数字は、ウクレレにそのまま当てはまるか確認できていません。華氏72〜77度が約22〜25℃というのは、自分で計算した値です。素材ごとの音の違いは、資料の説明にもとづく傾向で、個人差や製品差があります。「楽器のサイズとハイG・ローGの確認」「湿度計」「お手入れの習慣のまとめ」は一般的な心がけで、資料では直接確認していません。英語の資料は、自分の言葉でまとめています。専門家の監修は受けていません。弦や楽器の状態が気になるときは、楽器店にご相談ください。内容に誤りがあれば、お知らせください。