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ひらがなはいつから?年少・年中・年長の目安と、家庭での見守り方

公開:2026-10-03 最終更新:2026-10-03 運営:asobilab

「うちの子、そろそろひらがなを書けるようにならないと?」と気になる時期があります。このページでは、国の決まり(幼稚園教育要領・学習指導要領)と、2つの調査(ベネッセ教育総合研究所の2012年の調査、国立国語研究所の1967年・1988年の調査)をもとに、年少・年中・年長の「目安」を整理しました。先に言っておくと、ひらがなの読み書きには個人差が大きく、調査でも、年長のうちにぜんぶ書ける子ばかりではありません。

国の決まりでは、「いつから」と書いてある?

幼稚園教育要領は、幼稚園で何を育てるかを国が示したものです。文字に関わる部分は、領域「言葉」にあります。内容には「日常生活の中で、文字などで伝える楽しさを味わう」とあります。内容の取扱いには、文字などを使って思ったことや考えたことを伝える喜びや楽しさを味わい、文字に対する興味や関心をもつようにすること、と書かれています[1]。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の1つにも、遊びや生活の中で標識や文字などに親しみ、文字の役割に気づく、という姿があります[1]。この「姿」は、園の先生が指導を考えるときの手がかりという位置づけです[1]。

ここから読みとれるのは、幼児期の中心が「読み書きの練習」より、「文字っておもしろい、役に立つ」と感じることだ、という点です。今回ひらいた範囲では、「何歳から文字を教える」「何歳までに書けるようにする」という書き方は見つかりませんでした[1]。

いっぽう、小学校の学習指導要領の国語では、第1学年及び第2学年の内容に「平仮名及び片仮名を読み,書く」ことが入っています[2]。書写の内容には、姿勢や筆記具の持ち方、筆順に従って書くことなども示されています[2]。ひらがなを読み書きする学習は、小学校の国語で位置づけられている、と言えます。

幼児期と小学校での、文字の扱いのちがい年少・年中・年長のあいだは「文字に興味・関心をもつ」ことが中心で、小学1年生から国語で「平仮名を読み、書く」ことを学ぶ。年少・年中・年長の「読める」子の割合は64.1%、86.0%、95.0%。年少年中年長小学1年読める 64.1%読める 86.0%読める 95.0%(この調査にはなし)幼稚園教育要領(領域「言葉」)文字に興味や関心をもつ文字などで伝える楽しさを味わう学習指導要領国語(1・2年)平仮名を読み、書く「読める」の%は、母親の回答(2012年調査)「とてもあてはまる」+「まああてはまる」の合計小学校の決まり
図1 幼児期は「文字への興味・関心」、小学校からは国語で「読み、書く」学習。%は「かな文字を読める」と答えた母親の割合。[1][2][3]

調べでわかること① 「読める」子は、年少から年長でふえる

ベネッセ教育総合研究所は、2012年1〜2月に「幼児期の家庭教育調査」を行いました。対象は、年少児から小学1年生の子の母親5,016名です[5]。この調査で、年少〜年長の母親に「現在、お子さまは、どれくらいあてはまりますか」と聞き、「かな文字を読める」に「とてもあてはまる」か「まああてはまる」と答えた割合は、次のとおりでした[3]。

かな文字を読めると答えた母親の割合年少児64.1%、年中児86.0%、年長児95.0%。棒の長さは100%を400の長さとして、数字に比例させている。年少児64.1%年中児86.0%年長児95.0%0%50%100%質問:「現在、お子さまは、どれくらいあてはまりますか」(母親が回答)
図2 「かな文字を読める」に「とてもあてはまる」「まああてはまる」と答えた母親の割合(ベネッセ教育総合研究所「幼児期の家庭教育調査」2012年)。[3]

年少から年長までに、30.9ポイントふえています(95.0−64.1、わたしの計算)。調査のまとめにも、年少児から年長児にかけて30%以上ふえたと書かれています[3]。年長の母親の9割台が「読める」と答えた、ということです[5]。

反対に見ると、年少では、この2つの答えを選ばなかった母親が約36%(100−64.1、わたしの計算)います。年少のうちは、まだ読めない子も3人に1人ほどいる、ということです。「読めない」のは、めずらしいことではありません。

読むときは、次の点に気をつけてください。

調べでわかること② 書ける文字は、読める文字よりゆっくりふえる

国立国語研究所は、幼児がひらがなをどれくらい読み書きできるかを、1967年と1988年に調べました。島村直己「文字習得のふしぎ」に、その結果をまとめた表が載っています[4]。表は、ひらがな71文字のうち、読める文字・書ける文字の「平均」です。1967年11月の調査は、東京・東北・近畿の幼稚園122園の4歳児・5歳児クラスが対象。1988年11・12月の調査は、東京・愛知の保育所13園・幼稚園19園の3歳児・4歳児・5歳児クラスが対象です[4]。

ひらがな71文字のうち、読める・書ける文字の平均1967年は4歳児クラスで読める33.5字・書ける10.8字、5歳児クラスで読める53.0字・書ける26.0字。1988年は3歳児クラスで読める18.6字・書ける4.5字、4歳児クラスで49.7字・20.9字、5歳児クラスで65.9字・44.6字。棒の長さは71字を400の長さとして、数字に比例させている。読める文字の平均書ける文字の平均1967年11月(東京・東北・近畿の幼稚園122園)4歳児クラス33.5字10.8字5歳児クラス53.0字26.0字1988年11・12月(東京・愛知の保育所13園・幼稚園19園)3歳児クラス18.6字4.5字4歳児クラス49.7字20.9字5歳児クラス65.9字44.6字71字(全部)0
図3 71文字のうち、読める・書ける文字の「平均」(国立国語研究所の調査。島村直己「文字習得のふしぎ」の表より)。[4]

1988年の5歳児クラスは、平均で71字のうち65.9字を読め、44.6字を書けていました。割合にすると、読めるのが約93%、書けるのが約63%です(65.9÷71、44.6÷71、わたしの計算)。調査は秋(11・12月)なので、年長のおわりではありませんが、年長でも「ぜんぶ書ける」が当たり前ではないことがわかります。

2つの調査をくらべると、時代による変化も見えます。1988年の4歳児クラスの平均(読める49.7字)は、1967年の5歳児クラスの平均(53.0字)に近い数字です(わたしが表を見くらべたものです)。同じ年齢でも、時代や地域で数字が変わるので、古い数字は「いまの子の基準」にはなりません。

この表は「平均」です。年齢ごとの平均であって、「その年齢の子の何割が全部書ける」という数字ではありません。園や地域もかぎられています。目安の1つとして、ゆるく受けとってください。

年少・年中・年長の目安

ここまでの資料から言えることを、学年ごとに並べます。「ここまでにできないといけない」という線ではなく、「多くの子がこのあたり」という見かたです。

年少(3歳児クラス)

「読める」と答えた母親は64.1%[3]。1988年の3歳児クラスの平均は、読める18.6字、書ける4.5字でした[4]。書く練習をはじめる時期というより、絵本や名前、お店の看板などで「文字があるな」と気づく時期、と読めます[1]。

年中

「読める」は86.0%[3]。1988年の4歳児クラスの平均は、読める49.7字、書ける20.9字です[4]。読める文字が一気にふえる時期で、書くほうは、まだ読むよりずっと少ない時期でもあります。

年長

「読める」は95.0%[3]。1988年の5歳児クラス(秋)の平均は、読める65.9字、書ける44.6字です[4]。小学校の国語でひらがなを読み書きする学習がはじまる前の時期です[2]。自分の名前から書きはじめる子が多い、といわれます。

家庭でできる工夫

ここからは、一般にいわれている工夫です。「この方法で必ず書けるようになる」と、研究で確かめられたものではありません。ベネッセ教育総合研究所の調査のまとめにある説明と、幼稚園教育要領の考えかたに合わせて紹介します。お子さんによって、合う方法はちがいます。

絵本と、身のまわりの文字から

調査のまとめでは、かな文字の読みは、絵本に親しんだり、まわりにある文字を読む機会が多かったりすると身につく、と説明されています[3]。「これなんて読むの?」と看板や食品のパッケージを一緒に読むだけで十分です。

自分の名前を、ていねいに

同じまとめでは、自分の名前を書くことは、丁寧に書く練習でできるようになる、と説明されています[3]。最初は、1文字だけでもかまいません。お絵かきのすみに名前を書く、お手紙ごっこで宛名を書くなど、「伝えるために書く」場面を作ると、幼稚園教育要領の「文字などで伝える楽しさ」にも近づきます[1]。

えんぴつを使う遊びを

同じまとめには、えんぴつの持ち方は練習が必要で、絵を描く、迷路で遊ぶ、模様を描くなど、楽しい活動で使ってみるとよい、とあります[3]。持ち方は、小学校の書写でも、正しくすることが示されている内容です[2]。

書き順は、興味が出てから、短く

小学校の書写では「筆順に従って」書くことが示されています[2]。ただ、幼児期に書き順を厳しく教える必要がある、という資料は確認していません。書き順れんしゅうのように、動くお手本を見て、なぞって、1日1〜3文字ほどで終える。そのくらいの気軽さで十分です。学校で習う書き方がある場合は、そちらを優先してください。

くらべない、あせらない

図3のとおり、同じ年齢でも読める・書ける文字数は人によってちがいます。きょうだいや友だちとくらべるより、「この前より1文字ふえた」を見つけてあげてください。心配なことがあるときは、園の先生や、入学後は担任の先生に聞いてみましょう。

よくある疑問

ひらがなは、何歳から書き始めればいいですか?

国の資料に、「何歳から」という指定は、確認した範囲では見つかりませんでした[1]。調査では、1988年の3歳児クラスでも、書ける文字が平均4.5字ありました[4]。「お子さんが書きたがったとき」が、ひとつの目安です。

年長なのに、自分の名前くらいしか書けません。遅れていますか?

「遅れている」と言える基準は、今回の資料からは示せません。1988年の調査でも、5歳児クラスの書ける文字数は平均で44.6字、71字の約6割でした[4]。個人差が大きい時期です。気になるときは、園の先生に、ふだんの様子をたずねてみてください。

読めるのに、書けないのはなぜですか?

図3のように、どの年齢でも、読める文字のほうが書ける文字より多くなっています[4]。書くには、文字の形を思い出し、線の向きや順番を考えながら手を動かす必要があります。読むより手順が多いぶん、時間がかかるのは自然なことと考えられます。

字が左右ぎゃくになってしまいます

文字が左右反転する「鏡文字」は、幼児期にはよく見られるといわれます。くわしくは、鏡文字の記事に書きました。

参考にした資料

  1. 文部科学省「幼稚園教育要領(平成29年告示)」(領域「言葉」の内容・内容の取扱いの文字に関する記述と、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の文字に関する項目、その位置づけを確認)
  2. 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(国語 第1学年及び第2学年の、平仮名及び片仮名を読み書きする内容と、書写の内容を確認)
  3. ベネッセ教育総合研究所「幼児期の家庭教育調査の資料(research22_pre1.pdf)」(図1-3「かな文字を読める」の年少児64.1%・年中児86.0%・年長児95.0%、質問文、調査のまとめの説明を確認)
  4. 島村直己「文字習得のふしぎ」(国立国語研究所の学術情報リポジトリ掲載。1967年11月と1988年11・12月の調査について、71文字中の読める・書ける平均文字数の表を確認)
  5. ベネッセ教育総合研究所「幼児期の家庭教育調査の資料(research22_paper.pdf)」(2012年1〜2月、年少児〜小学1年生の母親5,016名という調査の概要と、年長で「かな文字を読める」が9割に達するという記述を確認)。同じ調査のプレスリリース「小学校入学前に身につけてほしい力は…」でも、概要と9割の記述を確認

この記事について:文部科学省の2つの資料、ベネッセ教育総合研究所の調査資料、国立国語研究所の表を載せた論文は、ページを開いて、内容を確認しました。確認できていないこと:ベネッセの調査報告書の全体(資料は一部のページを確認しました)、国立国語研究所の1967年調査の原典(『幼児の読み書き能力』)、幼稚園教育要領の解説書、島村氏の論文の刊行年(リポジトリのファイル名から1998年ごろのものと見られます)です。ベネッセの同じ調査には、小学1年までを追いかけた別の速報もありますが、図表の数字の読みとりに確信がもてなかったため、この記事では使っていません。自分で計算した数字:ポイントの差30.9、約36%、約93%、約63%。「年齢ごとの目安」は、上の資料の数字を並べたもので、公的な基準ではありません。専門家の監修は受けていません。内容に誤りがあれば、お問い合わせフォームからお知らせください。

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