子どもが勉強に集中できない…原因と、時間・音・環境の工夫
机に向かっても、すぐに鉛筆を回し始める。5分もしないうちに立ち歩く。そんな様子を見ると、つい「集中しなさい」と言いたくなりますよね。
このページでは、集中できない原因の見分け方と、音・時間・環境の工夫を、研究や公的な資料をもとに整理しました。
「確かめられたこと」と「一般にいわれる工夫」は分けて書いています。
「何分集中できるか」の公的な目安は、見つからなかった
子どもが「何分くらい集中できるか」を示した公的な数字は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。
年齢で何分、と言い切る情報もありますが、根拠がはっきりしないものが多い印象です。
ただし、タブレットなど画面を使う学習については、文部科学省のガイドブックが、30分に1回は20秒以上、画面から目を離して遠くを見るよう勧めています[1]。
区切りを入れる考え方は、紙の勉強でも参考になります。
集中できない原因の見分け方
ここは研究にもとづく分類ではなく、筆者が整理した見方です。
- 眠い・疲れている:夜ふかしや習い事のあと。厚生労働省の睡眠ガイドは、小学生は9〜12時間の睡眠を目安にしています[2]。
- お腹がすいている:帰宅すぐ、夕食前。
- 分からなくて、止まっている:手が止まり、ほかのことを始める。
- 音や物に気を取られている:テレビ、きょうだいの声、スマホ、おもちゃ。
- 長すぎる:終わりが見えず、やる気が続かない。
「集中力がない子」と決めつけず、どの場面で止まるかを見ると、手の打ち方が見えてきます。
音楽をかけながらの勉強は?
大人を対象にした研究を集めた2011年の分析では、背景の音楽の影響は、全体では良い結果と悪い結果が打ち消し合ってほぼゼロでした。
ただ、読むことの理解や記憶の課題では、やや悪い影響が見られたとされています[3]。
65の研究をまとめた2018年の分析では、騒音・話し声・音楽はどれも、読むことの成績を小さく下げていました。
もっとも妨げになったのは、意味の分かる話し声と、歌詞のある音楽でした。子どもと大人で、大きな差は見られませんでした[4]。
つまり、文章を読む・覚える勉強のときは、テレビや歌詞のある音楽は消したほうがよさそうです。
どうしても音がある環境なら、耳栓や、歌詞のない静かな音を試す方法もあります(筆者の考えです)。
時間の区切り方
「いつ・どこで・何をするか」を先に決めると、目標は達成されやすくなる、という研究があります。
94の検証結果をまとめた2006年の分析では、「もし〜なら、〜する」の形で行動を決めた人は、そうでない人より目標を達成しやすい結果でした[5]。
小学生の勉強だけを調べたものではありません。
家庭では、次のように区切ると始めやすくなります(一般にいわれる工夫です)。
- 最初は短く。10〜15分でもOK。タイマーで「終わり」を見えるようにします。
- 1回にやることを1つに。「漢字ドリル1ページ」のように、量を決めます。
- 区切りで体を動かす。水を飲む、伸びをするなど、短い休けいを入れます。
- 画面の学習は30分で目を休める。[1]
眠くなる・すぐ忘れるとき
勉強中に眠くなるなら、まず睡眠時間を見直してください[2]。
夕食後すぐ・寝る直前より、帰宅して少し休んだあとのほうが、取りかかりやすい子もいます(筆者の考えです)。
すぐ忘れてしまうときは、一度にたくさん覚えるより、次の日にもう一度だけ見返すほうが、子どもの負担が少なく続けやすいと考えられます(一般にいわれる工夫です)。
よくある疑問
タイマーは使ったほうがいいですか?
終わりが見えると始めやすくなる子には、役に立ちます。
音が鳴るタイプで驚く子もいるので、画面で残り時間が見えるものなど、お子さんに合うものを選んでください。
耳栓をして勉強してもいいですか?
話し声などの音は、読むことの妨げになりやすいとされています[4]。耳が痛くならない範囲で、試してみる価値はあります。
つきっきりで見たほうがいいですか?
最初は近くにいて、少しずつ離れるのが無理がないと考えられます。くわしくは宿題を一人でできる子になるためにへ。
参考にした資料
- 文部科学省「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック(令和4年3月改訂版)」(目と画面の距離30cm以上、30分に1回は20秒以上遠くを見る、姿勢、机と椅子、明るさ、長時間の注視、就寝前1時間、厚生労働省のガイドラインの紹介(連続作業時間は1時間を超えない)の記載を、ページ番号つきで確認。)
- 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月、厚生労働省)(こども版p.15に「小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する」という趣旨の記載があることを確認。)
- Kämpfe, Sedlmeier, Renkewitz「The Impact of Background Music on Adult Listeners: A Meta-Analysis」Psychology of Music, 2011(大人を対象にした研究のまとめ。全体では効果が打ち消し合ってほぼゼロだが、読むことの理解や記憶の課題では、やや悪い影響が見られたこと。検索結果の要約で確認し、資料本文はこの記事を書いた環境から開けなかった)
- Vasilev, Kirkby, Angele「Auditory distraction during reading: A Bayesian meta-analysis of a continuing controversy」Perspectives on Psychological Science, 2018(65の研究をまとめ、騒音・話し声・音楽はどれも読むことの成績を小さく下げ、意味の分かる話し声と歌詞のある音楽がもっとも妨げになり、子どもと大人で大きな差は見られなかったこと。検索結果の要約で確認し、資料本文はこの記事を書いた環境から開けなかった)
- Gollwitzer, Sheeran「Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes」Advances in Experimental Social Psychology, 2006(コンスタンツ大学の登録ページの要旨で、94の独立した検証、効果の大きさd=.65を確認。)
この記事について:当サイトの他の記事で資料を開いて確かめた内容(それぞれの資料の説明を参照)と、検索結果の要約で確かめた内容(説明に「検索結果の要約で確認」と書いたもの)を使っています。研究の多くは海外のもので、家庭の状況にそのまま当てはまるとは限りません。