子どもが勉強しない…小学生・中学生の原因と、親ができること
「何回言っても、勉強しない」。毎日そう感じていると、親のほうが疲れてしまいますよね。
このページでは、まず国やベネッセの調査で、家で勉強しない子がどのくらいいるのかを確かめます。
次に、親の関わり方やごほうびについて研究でわかっていることを整理し、最後に家庭でできる工夫を紹介します。
研究の多くは海外のもので、日本の家庭にそのまま当てはまるとは限りません。
「確かめられたこと」と「一般にいわれる工夫」は分けて書きました。
家で勉強しない子は、どのくらいいる?
全国学力・学習状況調査は、令和7年度は2025年4月14〜17日に、小学校6年生と中学校3年生を対象に行われました[2]。
学校の授業時間以外に、平日1日どれくらい勉強するかを聞いた結果では、令和7年度の小学校6年生は「1時間以上」が54.3%、「30分より少ない」と「全くしない」を合わせて18.4%でした[1]。
令和元年度は、「1時間以上」が66.2%、「30分より少ない」と「全くしない」の合計が9.8%です(足し算は筆者)[1]。
家であまり勉強しない子の割合は、数年前より大きくなっています。
ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所の調査でも、小学4〜6年生の1日の学習時間は、2015年の83分から2025年の66分になりました[3]。
発表資料では、宿題以外の家庭学習をしない子どもが11年で10ポイント前後増え、4〜5割になったとも報告されています[4]。
つまり、「うちの子だけが勉強しない」わけではありません。まずは、それを知っておくだけでも少し気が楽になると思います。
勉強しない理由として、考えられること
理由は子どもによって違います。叱る前に、次のどれに近いかを見てみてください。
ここは、研究にもとづく分類ではなく、筆者が整理した見方です。
- 何をすればいいか分からない:やることが決まっていない、やり方が分からない。
- 分からなくて、つまずいている:前の単元が分からず、手をつけにくい。
- 疲れている・眠い:習い事や夜ふかしで、体力が残っていない。
- ほかに楽しいことがある:ゲームや動画が先になっている。
- やる意味を感じない:「なぜ勉強するのか」がピンときていない。
疲れについては、厚生労働省の睡眠ガイドが、小学生は9〜12時間の睡眠を目安にしています[10]。
寝る時間が削られていないかも、あわせて見てみてください。
親の関わり方について、研究でわかっていること
「関わるほどよい」「放っておくほどよい」とは言えない
小学3〜6年生の子の親114人を調べた1989年の研究では、親の関わりを、子どもの自主性を支えること、かかわり、ルールや見通しを示すことの3つに分けると、学校での様子や成績との結びつき方がそれぞれ異なっていました[5]。
2008年の分析では、親の関わりと成績の関連を調べた22の集計で、小学生と高校生では正の関連、中学生では負の関連がありました。
ルールを決める関わりは、ほかの関わりより結びつきが強いという結果でした[6]。
「どんな関わり方か」「何年生か」で結果が変わるということです。
物のごほうびは、やる気を下げることがある
1999年に128の実験をまとめた分析では、形のある物のごほうびは、自分から取り組みたい気持ちを下げる傾向があり、大学生より子どもで影響が大きいとされました。
一方、言葉でのほめや前向きなフィードバックは、興味を高める結果でした[7]。
多くは実験室での課題を調べたもので、家庭の毎日の勉強とは条件が異なります。
選べると、やる気が高かった
米国の高校生207人を対象にした2010年の実験では、2つの宿題から選べた単元のほうが、宿題へのやる気や「できる」という感覚が高く、宿題の完了率も高い傾向でした[8]。
対象は高校生なので、小学生にも同じことが言えるかは、この資料からはわかりません。
頭のよさより、取り組みをほめる
小学5年生を対象にした1998年の実験では、頭のよさをほめられた子は、失敗のあとに粘り強さと楽しさが下がる傾向がありました。
努力をほめられた子は、学ぶことへの関心が続く傾向がありました[9]。
家庭でできる5つの工夫
ここからは、上の研究や一般にいわれることをもとにした工夫です。効果が確かめられたものではありません。
お子さんに合いそうなものから試してください。
- 理由を一緒に見分ける。「どうしてやらないの!」ではなく、「どこから止まってる?」と聞いてみる。分からない所があれば、そこが出発点です。
- 時間と場所を先に決める。「夕ごはんの前に、リビングのテーブルで」のように決めておくと、毎回の言い合いが減ります。くわしくは家庭学習の習慣づけへ。
- 選ばせる。「算数と漢字、どっちからやる?」と順番を選ばせる。選べると、やる気が高い傾向がありました[8]。
- 短く始める。最初は10分でも十分です。「終わり」が見えると、取りかかりやすくなります。
- 結果より、取り組みを認める。「最後まで自分でやったね」のように、やったことを具体的に言葉にします[9]。声かけの例はやる気を引き出す声かけにまとめています。
勉強しない子を「放置」してもいい?
放置がよいかどうかを直接調べた研究は、今回確認できませんでした。確認できたのは、関わり方の種類と学年で結果が変わる、ということです[5][6]。
筆者の考えとしては、「見張る・叱る」をやめても、「決めたルールの中で任せる」形にするのが現実的だと思います。
たとえば、時間と場所だけ一緒に決めて、中身は子どもに任せる、などです。
中学生が勉強しないときは
2008年の分析では、中学生では、親の関わりと成績のあいだに負の関連が見られました[6]。
関わりが逆効果という意味とは限りませんが、小学生と同じ関わり方がそのまま合うとは言えません。
中学生になったら、細かく口を出すより、テストの日程や目標を本人に決めさせ、困ったときに相談できる関係を保つほうが、無理がないと考えられます(筆者の考えです)。
どうしてもできない状態が続くときは
やる気の問題ではなく、特定のことに強い苦手がある場合もあります。
文部科学省は学習障害を、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するのうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態、と説明しています[11]。
「読むのがとても苦手」「数の計算だけ極端に難しい」など、気になることが続くときは、担任の先生やスクールカウンセラー、地域の教育相談窓口に相談してみてください。
家庭だけで抱え込まなくて大丈夫です。
よくある疑問
「勉強しなさい」と言うのは、逆効果ですか?
ベネッセ・東大の調査では、小学4〜6年生の保護者の65.2%が「勉強しなさい」と言っていると答えています(2025年)[3]。
多くの家庭で言っていることです。言うかどうかより、言い方と、そのあとの関わり方が大切だと考えられます。
声かけの例はこちらの記事にまとめました。
ごほうびで釣るのは、よくないですか?
物のごほうびは、自分から取り組みたい気持ちを下げる傾向があるとされます。言葉でのほめは、興味を高める結果でした[7]。
使うなら、物より言葉を中心にするのが無理がなさそうです。
親が疲れてしまいました。
毎日のことなので、疲れて当然です。全部を毎日がんばらず、「時間と場所だけ決めて、あとは任せる日」をつくっても大丈夫です。
宿題を一人でできる子になるためにも参考にしてください。
参考にした資料
- 国立教育政策研究所「令和7年度全国学力・学習状況調査 報告書【質問調査】 質問の経年変化」(小学校の質問17「学校の授業時間以外の勉強時間」の平成27年度〜令和7年度の割合と、質問16「自分で学び方を考え、工夫することはできていますか」の令和7年度・6年度の割合を、文書を開いて確認。図1の数字は、令和元年度と令和7年度の行。)
- 国立教育政策研究所「令和7年度全国学力・学習状況調査 調査結果のポイント」(調査の実施日が令和7年4月14日〜17日、対象が小学校6年生と中学校3年生であることを確認。)
- ベネッセ教育総合研究所・東京大学社会科学研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2025 報告書」(図1-4-1で、小4〜6生の学習時間の内訳(宿題・宿題以外の勉強・学習塾・合計)が2015年と2025年で比べられていること、回答者が子どもであることを確認。)
- ベネッセ教育総合研究所・東京大学社会科学研究所「「子どもの生活と学びに関する親子調査2015-2025」結果(ニュースリリース)」(2015〜2025年に小1〜高3の親子約2万組を追った調査であること、「宿題以外の家庭学習をしない子ども」が10ポイント前後増えて4〜5割になったという記述を確認。)
- Grolnick, Ryan「Parent styles associated with children's self-regulation and competence in school」Journal of Educational Psychology, 1989(ERICの登録ページの要旨で、小3〜6の子の母64人・父50人を対象に、自律性支援・関与・構造の3つを調べたことを確認。数字の結果は要旨にはなく、本文は開けていない。)
- Patall, Cooper, Robinson「Parent involvement in homework: A research synthesis」Review of Educational Research, 2008(ERICの登録ページと出版社ページの要旨で、14の研究と22の集計(20の研究)の結果を確認。)
- Deci, Koestner, Ryan「A meta-analytic review of experiments examining the effects of extrinsic rewards on intrinsic motivation」Psychological Bulletin, 1999(梨花女子大学の研究成果ページの要旨で、128の研究、形のある報酬は子どもでより悪影響が大きい傾向、言葉の報酬の効果の大きさ(d=0.33、0.31)を確認。)
- Patall, Cooper, Wynn「The effectiveness and relative importance of choice in the classroom」Journal of Educational Psychology, 2010(論文PDFの参加者と方法の記述と、ERICの登録ページの要旨で、米国の高校生207人、単元ごとに条件を入れかえる実験、結果(内発的動機づけ、有能感、単元テスト、完了率の傾向)を確認。)
- Mueller, Dweck「Praise for intelligence can undermine children's motivation and performance」Journal of Personality and Social Psychology, 1998(Semantic Scholarの論文ページとIES(ies.ed.gov)の資料の要旨で、小学5年生、6つの実験、頭のよさをほめられた子と努力をほめられた子の結果のちがいを確認。)
- 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月、厚生労働省)(こども版p.15に「小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する」という趣旨の記載があることを確認。)
- 文部科学省「学習障害児に対する指導について(報告)」(平成11年7月。学習障害の定義「全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態」と、直接の原因が視覚障害・聴覚障害・知的障害・情緒障害や環境的な要因である場合は含まないこと。検索結果の要約で確認し、ページ本文はこの記事を書いた環境から開けなかった)
この記事について:[1]〜[10]は、当サイトの他の記事で資料を開いて確かめた内容を使っています(それぞれの資料の説明を参照)。[11]は、検索結果の要約で確認しました。「勉強しなさい」の割合(65.2%)は、ベネッセ・東大の調査報告書の図3-1-1の値で、やる気の声かけの記事で確認したものです。研究の多くは海外や実験の場面のもので、家庭の状況にそのまま当てはまるとは限りません。