鉛筆の持ち方・姿勢・濃さと太さ|ひらがなを書く前に知っておきたいこと
ひらがなの練習をはじめると、「この鉛筆の持ち方で合っている?」「姿勢が悪いかも」「濃さは何を選べばいい?」と気になってきます。このページでは、学習指導要領での書き方の位置づけ、持ち方・姿勢・鉛筆の濃さや太さについて、メーカーなどの公開情報も確かめながら整理しました。「こう持たせなければ」と決めつけず、お子さんに合う形を見つける手がかりにしてください。
学校では、何を目標にしているの?
文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)では、国語の書写に関して、第1学年と第2学年に「姿勢や筆記具の持ち方を正しくして書くこと」が示されています[1]。同じ書写では、点画(てん・せん)の書き方や文字の形に注意して、筆順にしたがって丁寧に書くことも求められています[1]。第5学年と第6学年になると、「目的に応じて筆記具を選び、その特徴を生かして書く」という内容に進みます[1]。
つまり学校では、低学年のうちに書くための土台をつくり、高学年で道具を自分で選べるようにしていく流れです。
ここで大事なのは、「正しい」の中身です。学習指導要領の本文には「正しくして」とだけ書かれています。指の位置を細かく決めた説明が解説書にあるかどうかは、今回は確かめられませんでした。学校や教科書によって、見せ方が少しちがうことがあります。実際に、複数の教科書会社が、左手で書く場合の持ち方も示しているという記載が、採択に関する資料にありました[7]。
「正しく持たせなければ」と構えすぎず、学校の先生から言われたことを、まず基準にするとよいでしょう。
鉛筆の持ち方
わかっていること
鉛筆メーカーの説明では、文字を書くときは親指・人差し指・中指の3本の指で持ちます[4]。そのため、3の倍数の形である三角軸や六角軸が持ちやすい、とされています[4][5]。三角軸は、持ち方のクセがつくのを防ぐ助けになる、という説明もあります[4]。
低学年の鉛筆は、「回しながら書く」ことにも意味があるといわれます。トンボ鉛筆のページは、鉛筆を回しながら書くと先が円錐状になり、はね・とめ・はらいが書きやすくなる、と説明しています[2]。同社の開発担当者は、学年が上がると鉛筆を回して書くことを身につけるため、回転がゆるやかな六角軸に移っていく、という趣旨を話しています[5]。
持ち方をいつから教えるかは、はっきり決まっていません。「3歳前後から」という記事もありますが、個人差が大きく、手の指の力がつく前に無理にさせると逆効果になることもある、とも書かれています[8]。この記事は編集部のまとめで、専門家の監修は表示されていません。目安のひとつにとどめてください。
家庭でできる工夫
研究で確かめられた方法というより、一般的な進め方として紹介します。
- 持ち方を、その場で直さない。 書いている途中で何度も直されると、書くことがいやになるかもしれません。気づいたことは、書き終わってから、ひとこと伝えるくらいにします。
- 道具から整える。 持ち方を変える前に、鉛筆の長さや軸の形が、お子さんの手に合っているかを見てみます。三角軸や六角軸など、複数の形から選べることもあります[3]。
- 左利きの子は、その子の持ち方で。 左手で書く場合の持ち方を示している教科書がある、という記載があります[7]。左右どちらでも、学校の先生に確かめられます。
- 「見て、なぞって、1回書く」。 画面でお手本の動きをなぞってから、鉛筆で1回書くと、書き順と手の動きがつながりやすくなります。
姿勢
わかっていること
京都府の教育関係のサイト(kyoto-be.ne.jp)に掲載された、作業療法士による資料(発行元の正式な名称は資料から確認できませんでした)には、机と椅子の高さの合わせ方がまとまっています[6]。椅子は、足の裏がぜんぶ床につき、ひざと股関節がおよそ90度に曲がる高さに合わせます[6]。机は、ひじを曲げて腕を前に出したときの、ひじの位置に合わせます[6]。
机の高さを考える目安として、同じ資料には、座高と差尺(椅子の座面から机の上までの高さ)の計算式もあります。座高は「身長×0.55」、差尺は「座高÷3から2〜3cmを引いた値」です[6]。たとえば身長110cmなら、座高は約60.5cmで、差尺は約17〜18cmになります(運営者が計算)。これは目安のひとつで、学校の机の調整は、先生に相談するのが確実です。
家庭でできる工夫
- 足が床につかないときは、足置き台のように、安定した台を足の下に置いてみる(資料でも足置き台が紹介されています)。
- 長く座るより、短い時間でやめる。ひらがな練習なら、1日1〜3文字で十分です。
- 疲れたら、立って体を動かしてから、また始める。
- 痛みや疲れが強く、続くようなら、担任の先生や、かかりつけの医師に相談する。
鉛筆の濃さ
わかっていること
鉛筆の芯の濃さは、H・B・HB・Fなどの記号で表されます。三菱鉛筆の資料によると、Hは「かたい」、Bは「黒い」という意味で、Hの数字が大きいほど「うすくてかたい」芯、Bの数字が大きいほど「こくてやわらかい」芯です[4]。HBはその中間で、黒鉛7に対して粘土3の割合で作られます。粘土が多くなると、芯はかたく、色はうすくなります[4]。
低学年向けの濃さとして、あるメーカーは、2019年のお知らせで、低学年用製品の硬度を「B」と「2B」とし、筆記線が濃く、なめらかで、芯が折れにくい、と説明していました[3]。同じ会社の一般向けの製品は、HBから6Bまで幅広くそろえているとも書かれています[3]。
トンボ鉛筆のページは、低学年は筆圧の加減がむずかしいため、鉛筆が合う、とも説明しています[2]。また、鉛筆の開発担当者は、入学時の持ち物は学校の指定にしたがうことが重要だと話しています[5]。
では「BかHBか2Bか」は、どう選べばよいのでしょうか。「Bや2Bから始めるのがよい」と、公的な資料で言い切っているものは、今回は見つかりませんでした。確認できたのは、上のメーカーの説明と、「学校の指定を先に確認する」という点です。
家庭でできる工夫
- 入学前なら、学校から配られる持ち物のお知らせを、まず確認する。
- 書いた線がうすすぎる、または力が入りすぎて手が疲れる、と感じたら、濃さを変えて、書き心地のちがいをお子さんと一緒に試す。
鉛筆の太さ・長さ
鉛筆の太さや長さも、気になる点です。上でふれたメーカーは、体の小さい低学年に合わせて、鉛筆の長さを15mm短くし、書いているときのぐらつきを防ぐ工夫をしています。軸の形は、六角と三角から選べます。製品の数値は、六角が長さ161mm・最大径7.7mm、三角が長さ161mm・最大径7.4mmと書かれています[3]。
これは一社の製品の例で、「何mmの太さがよい」と決められた基準を示す資料は、確認できませんでした。持ちやすさは手の大きさや好みでもちがうので、実際に手に持たせて決めるのがおすすめです。三菱鉛筆の資料にも、六角軸は転がりにくく持ちやすい、という説明があります[4]。
ひらがなの練習と、一緒に考えるなら
「ひらがな書き順れんしゅう」は、ひらがな71字の書き順を、動くお手本・なぞり・クイズで練習できる無料のページです。画面でなぞったあと、紙に鉛筆で1回書いてみる、という流れもおすすめです。そのとき、この記事の持ち方・姿勢・濃さは、「迷ったときの手がかり」として使ってください。
よくある疑問
持ち方が人とちがいます。なおすべきですか?
学習指導要領には「正しく」と書かれていますが[1]、具体的にどうするかは、学校や先生の説明をまず見るとよいでしょう。手が痛い、疲れやすいなど、書くのが困っているようすが続くときは、担任の先生に相談してください。
左利きは、右利きと同じ持ち方でないといけませんか?
左手で書く場合の持ち方を示している教科書がある、という記載がありました[7]。この記事では、左利きの持ち方について、細かい指導はできません。学校の先生に確かめてください。
HBと2B、どちらがよいですか?
どちらがよいと決められる公的な資料は、今回は見つかりませんでした。まず学校の指定を確認し[5]、書き心地を試して決めてください。
シャープペンシルでもよいですか?
トンボ鉛筆のページは、シャープペンシルは芯の出具合で、強い筆圧のときに折れやすいと説明し、低学年には鉛筆が適するとしています[2]。学校で使用が決まっている場合は、その指示にしたがってください。
参考にした資料
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」(第1・2学年の書写に「姿勢や筆記具の持ち方を正しくして書くこと」があること、第5・6学年に「目的に応じて筆記具を選び」があることを確認。指の位置などを説明した解説部分は確認できていない)
- 株式会社トンボ鉛筆「小学校で鉛筆が使われる理由」(低学年は筆圧の加減が難しく鉛筆が適すること、鉛筆を回して書くと先が円錐状になること、シャープペンシルは折れやすいことを確認)
- 株式会社トンボ鉛筆「2019年 学童文具 発売のお知らせ」(2019年1月9日。低学年用の軸の長さ・形・硬度の記述を確認。持ち方の記述はない)
- 三菱鉛筆株式会社「三菱鉛筆お役立ち情報《鉛筆・色鉛筆編》」(2017年6月作成、2025年3月改訂。販売員向け資料。H・B・HBの意味、黒鉛と粘土の割合、3本の指で持つため3の倍数の軸が持ちやすいという説明を確認)
- HugKum「トンボ鉛筆の開発者への質問記事」(2025年3月15日。三角・六角の理由、学年が上がると六角軸に移ること、入学時は学校の指定にしたがうことが大切という趣旨を確認)
- 京都府の教育関係のサイト(kyoto-be.ne.jp)掲載「第5回 SSC OTからの情報発信!」(作業療法士による資料。椅子・机の高さの合わせ方、座高と差尺の式を確認。発行元の正式名称は資料内で確認できなかった)
- 教科書採択に関する資料「02 書写」(kyoto-be.ne.jp掲載。書写の教科書の比較表。左手で書く場合の持ち方を載せる教科書があるという記載を確認。作成者・年度は資料内で確認できなかった)
- コエテコ byGMO「鉛筆の持ち方に関する記事」(補助資料。3歳前後が目安とされること、手の力がつく前に強要すると逆効果の場合があるという記述を確認。専門家の監修表記は確認できない)
この記事について:上の8つの資料は、実際にページを開いて内容を確かめました。ただし、文部科学省の解説は、本文の該当項目のみを確認でき、解説部分に書かれている指導内容は確認できていません。メーカーの資料は、その会社の製品や考え方にもとづくもので、鉛筆の選び方の一般的な基準を示すものではありません。図は、運営者が説明のために作った絵です。身長110cmの例は、運営者が計算しました。専門家(教育・医療・作業療法)の監修は受けていません。お子さんのようすが気になるときは、学校の先生や専門機関にご相談ください。内容に誤りがあれば、お問い合わせフォームからお知らせください。