ひらがなの書き順の基本ルール|上から下・左から右、家庭での教え方

公開:2026-10-03 最終更新:2026-10-03 運営:asobilab

ひらがなの書き順(筆順)には、いくつかの基本ルールがあります。いちばん大もとになるのは「上から下へ」「左から右へ」の2つです[3][4]。このページでは、そのルールと、漢字の筆順の原則とのつながり、家庭でできる教え方の工夫を、調べた資料にもとづいてまとめました。お子さんが「書き順って、なんで決まっているの?」と聞いてきたときの手がかりにしてください。

書き順(筆順)とは、何のためにあるのか

書き順とは、文字を書くときの点や線を書く順番のことです。学習指導要領(平成29年告示)では、小学1・2年生の国語に、「筆順に従って丁寧に書くこと」が指導事項として示されています[1][2]。点画の書き方や、文字の形に注意しながら書く、という文言とセットです[2]。

学校の教科書でも、ひらがなやカタカナ、漢字には、筆順が数字で示されています。令和6年度に使われる書写の教科書を比べた採択の参考資料に、そのように書かれています[7]。つまり、お子さんが学校で見るお手本には、順番の数字がついています。

書写の指導資料では、「正しい筆順で書くと、文字を整えて書きやすい」という考え方が示されています[4]。書き順は、見た目をきれいにするための道しるべのようなものです。ただし、書き順を守れば必ず上手になる、と言い切れるわけではありません。

『筆順指導の手びき』は何を決めたもの?

筆順の「基準」としてよく名前が出るのが、昭和33年(1958年)に文部省がまとめた『筆順指導の手びき』です。複数の書き方がある字でも、学校で教えるときは順番をそろえないと現場が混乱する、という理由でつくられたと説明されています[4]。

この手びきは、楷書(かいしょ。漢字の整った書き方)の筆順をまとめたものです[5]。その後、教科書の検定基準は「一般に通用している常識的なもの」を示すものとなり、手びきの拘束力はなくなった、とされています[5]。なお、手びきの発行を1957年12月と書く資料もあり[6]、年の書き方は資料によって少しちがいます。

ここで大事なのは、手びきの中心は漢字だという点です。ひらがな1字ずつの順番を細かく決めた資料は、今回調べた範囲では見つけられませんでした。そのため、ひらがなは学校の教科書のお手本の数字にしたがうのがいちばん確かです。

ひらがなの2つの大原則

横浜市教育センターの書写指導資料は、筆順の大原則として「上から下へ」「左から右へ」の2つをあげています。例として、漢字の「三」「言」(上から下)、「川」「順」(左から右)が載っています[3]。日本文教出版の指導資料でも、この2つが大原則とされています[4]。

ひらがなで見てみましょう。「こ」は、上の画を先に、下の画をあとに書きます。「い」は、左の長い画を先に、右の短い画をあとに書きます。図1の数字が書く順番です。

ひらがなで見る書き順の原則「こ」は上の画から下の画へ、「い」は左の画から右の画へ、「き」は横の画を先に2本書いてから縦の画へ進みます。数字は書く順番です。 1 2 上から下へ「こ」1画目→2画目 1 2 左から右へ「い」左の画→右の画 1 2 3 4 横の画が先「き」横→横→縦→カーブ
図1 ひらがなで見る書き順の原則。色と数字は書く順番を表す。字形のデータはKanjiVG(運営者が図に起こした)[8]

漢字の「八つの原則」と、ひらがなのつながり

日本文教出版の指導資料は、手びきをもとに、筆順の原則を次の八つにまとめています[4]。

  1. 上から下へ(大原則)
  2. 左から右へ(大原則)
  3. 横画が先
  4. 中が先
  5. 外側が先
  6. 左払いが先
  7. 貫く縦画は最後
  8. 貫く横画は最後

八つは主に漢字のための原則です。ひらがなには、「中が先」や「外側が先」が当てはまる字は、あまり多くないようです。ここからは、運営者がこのサイトの書き順データ(KanjiVG)を見て整理した内容です。教科書のお手本と一致するかは、字ごとに確かめてください。

横の画が先になる字:さ・き・ま

「さ」「き」「ま」は、先に横の画を書き、そのあとで縦に近い画を書きます。「き」は、横を2本書いてから縦の画、最後に下のカーブです(図1)。これは、横の画と縦の画が組み合わさる字で「横画が先」と考えると、覚えやすい例です。

縦の画から始まる字:は・ほ・け

一方で、「は」「ほ」「け」は、縦の画から書き始めます(図2)。「横画が先」に反するように見えますが、1画目の縦の画と横の画が交わらないので、「左から右へ」が優先されている、と考えると説明がつきます。

縦の画から始まる「は」「ほ」「け」「は」「ほ」「け」はいずれも、いちばん左の縦の画を1画目に書きます。数字は書く順番です。 1 2 3 左の縦画から「は」縦→横→曲がり 1 2 3 4 左の縦画から「ほ」縦→横→横→曲がり 1 2 3 左の縦画から「け」縦→横→縦
図2 縦の画から始める「は」「ほ」「け」。左のかたまりを先に書き、右へ進む。字形のデータはKanjiVG[8]

点や曲がりが多い字

ひらがなには、点、曲がり、そり、結びなど、漢字より曲線の多い画があります。基本点画として、横画、縦画、左払い、右払い、折れ、曲がり、そり、点が段階的に学ばれ、ひらがなでは「結び」(画の終わりで向きを変える形)も大切とされています[3]。曲線の画は、順番だけでなく、どこで向きを変えるかも見ておくと安心です。

「基本は2つだけ」という考え方も

筆順の原則は多く見えますが、ある大学の先生は、本当に守りたい原則は「上から下へ」と「左から右へ」の2つだけだと述べています。そして、この2つさえ守っていれば、完成した形が明らかにおかしくない限り、誤りとはいえないと考えています[6]。これは一人の研究者の見方で、公的な決まりではありません。

いっぽうで、学校では順番をそろえて教える必要がある、という立場が指導資料にあります[4]。家庭では、「まず大原則の2つを意識して、迷ったら学校の教科書のお手本を見る」くらいの気持ちが、ちょうどよいと考えます。

家庭でできる教え方の工夫

ここからは、一般にいわれる工夫です。研究で効果が確かめられた方法というより、学校の指導資料や、ふだんの練習の進め方に合わせた紹介です。お子さんによって合う方法はちがいます。

工夫1:まず「見る」。1字ずつ、動きを最後まで

書く前に、お手本の動きを見てもらいます。このサイトの「れんしゅうページ」では、書き順がアニメーションで動きます。数字つきの教科書のお手本と見比べて、「1番はどこから?」と声をかけてみましょう。

工夫2:空書き、色分け、番号を使う

横浜市教育センターの指導資料には、筆順の指導の工夫として、「一画ずつ色で区別する」「番号をふる」「空書きをする」があげられています[3]。空書きは、人さし指で空中に文字を書くことです。紙も鉛筆もいらないので、移動中や食事前の1分でもできます。図3のような流れで進めると、無理がありません。

家庭での練習の流れの一例見る、空書き、なぞる、書く、の4つの手順を、矢印でつないだ図です。1見るお手本の動きを最後まで見る2空書き指で空中に書いてみる3なぞる数字の順に指やペンで4書くえんぴつで1回だけ書く
図3 家庭での練習の流れの一例。横浜市教育センターの指導資料にある「色分け・番号・空書き」の工夫[3]を参考に、運営者が手順にまとめた

工夫3:1日1〜3字。短く終わる

1度にたくさんの字をやるより、1日に数字だけにするほうが、翌日もやりたい気持ちが残ります。「今日は『き』だけ」と決めて、最後は「できたね」で終わるのがおすすめです。

工夫4:学校の教科書を優先する

きょうだいが使った教科書や、ドリルの本とお手本がちがうと感じたときは、学校の先生に聞いてみてください。教科書のお手本が、そのクラスで教える基準になるためです。書き順を間違えて書いていたときの声かけは、書き順を間違えやすいひらがなのページにまとめています。

工夫5:「上から下、左から右」と声に出してなぞる

大原則の2つは、短くて口に出しやすい言葉です。なぞりながら「上から、下」「左から、右」と小さく声に出すと、手の動きと順番が結びつきやすくなる、と感じる方もいます。これは効果が確かめられた方法ではなく、一般にいわれる工夫のひとつです。お子さんが楽しめるなら、で十分です。

よくある疑問

書き順が違っても、読める字なら大丈夫ですか?

書き順が違っても、字として読めることは多いです。ただ、学校では筆順に従って書くことが指導事項になっています[1][2]。無理に直させるより、「こっちの順番もあるよ」と一緒に見てみるくらいで、まずは十分です。気になるときは学校の先生に相談してください。

教科書や本によって、書き順がちがうことはありますか?

筆順が複数ある字は、漢字を中心に存在します。だからこそ、学校では統一して教える、という考え方があります[4]。ひらがなについては、今回の調べでは、教科書ごとの違いを細かく比べた資料は確認できていません。学校で使う教科書を基準にしてください。

書き順は、いつから教えればいいですか?

学校で筆順を学ぶのは、小学1・2年生の国語(書写)です[1][2]。入学前でも、お子さんが興味をもったときに、遊びの中でなぞってみる程度で十分だと考えます。家庭でのはじめどきは、ひらがなはいつから始める?のページも参考にしてください。

間違った順番で覚えてしまったら?

気づいたときに、短い時間でやり直せば大丈夫です。叱るより、「形はとてもいいね。順番だけ、もう一度見てみよう」と、できているところを先に伝えてみてください。書くこと自体をいやがる様子が続くときは、担任の先生や専門機関に相談してみてください。

参考にした資料

  1. 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」(第1・2学年の書写の項目に「点画の書き方や文字の形に注意しながら、筆順に従って丁寧に書くこと」の文言があることを確認。項目の詳しい解説文は、取得できた範囲では確認できていない)
  2. 東京都教育委員会「小学校書写教科書の調査研究報告書(令和5年度)」(第1・2学年の目標として、筆順に従って丁寧に書くことなどが示されていることを確認。東書・教出・光村の3社18冊が調査対象)
  3. 横浜市教育センター「書写指導サポートブック(令和5年7月)」(筆順の大原則の例、色分け・番号・空書きの指導の工夫、基本点画と「結び」の記述を確認)
  4. 日本文教出版「書写ABC 筆順指導編」(平成30年11月発行。八つの原則、手びきが昭和33年にまとめられ教育上の統一が必要とされていること、筆順指導の考え方を確認。スキャン資料のため、巻末の調査の数字は読み取りが安定せず、この記事では使っていない)
  5. 松本仁志「楷書筆順の規範形成に関する歴史的研究」(広島大学学術情報リポジトリの要約)(手びきが楷書の筆順規範であること、昭和52年以降の検定基準が「一般に通用している常識的なもの」であることを確認。ひらがなの詳しい記述は、この要約には見当たらなかった)
  6. 古田島洋介「もはや漢字は御当地主義――筆順と画数をめぐって――」(明星大学。「二つの原則だけ」という見方、手びきを1957年12月とする記述を確認。筆者個人の意見であり、公的な基準ではない)
  7. 山梨県「令和6年度使用 小学校用教科用図書 採択参考資料 書写」(平仮名・片仮名・漢字に筆順が数字で示されていることを確認)
  8. KanjiVG(kanjivg.tagaini.net、© Ulrich Apel、CC BY-SA 3.0)(このサイトの書き順データの出どころ。図1・図2はこのデータの画の形と順番を使い、運営者が図に起こした。教科書のお手本と全字を照合したわけではない)

この記事について:参考資料はすべて、実際にページを開いて内容を確認しました。ただし、学習指導要領解説の該当項目の詳しい解説文と、『筆順指導の手びき』の原文は、直接確認できていません。八つの原則は日本文教出版の資料の記載にもとづき、手びきの原文の番号や言い回しとは異なる可能性があります。「さ・き・ま」「は・ほ・け」の整理と、図の書き順は、このサイトのデータを見て運営者が自分で整理したもので、公的な資料の記述ではありません。字数(71字、清音46字、濁音・半濁音25字)は、運営者が数えました。専門家の監修は受けていません。内容に誤りがあれば、フッターのお問い合わせフォームからお知らせください。

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