子供が勉強しないのは親のせい?全国調査で見えたことと変えやすい3つ
「うちの子が勉強しないのは、私の育て方のせいかも」。そう感じて、検索した方も多いと思います。
勉強しない原因や全体の対策は「子どもが勉強しない…原因と、親ができること」にまとめました。
この記事では「親のせい?」という問いに、国の調査で向き合います。
この記事を書いた人:神奈川で共働き・子ども3人の親です。無料の九九ゲーム「九九ダッシュ」を作っています。数字は、文部科学省の委託で大学がまとめた報告書を開いて確かめました。
この記事で使う調査
全国学力・学習状況調査では、数年に一度、保護者にもアンケートをとっています。この記事では、その結果を大学が分析した報告書を使います。
報告書では、家庭の「社会経済的背景(SES)」を、世帯の年収・保護者の学歴・職業から作った指標で表しています[1]。
家庭の環境と学力には、関係がある
まず、つらい事実から見ておきます。SESで4つのグループに分けると、平均正答率にははっきりした差がありました。
| SESのグループ | 小6 | 中3 |
|---|---|---|
| いちばん低い | 58.5 | 52.5 |
| やや低い | 64.5 | 58.7 |
| やや高い | 69.5 | 63.3 |
| いちばん高い | 77.6 | 70.7 |
令和6年度の分析でも、小6のSES上位25%と下位25%の学力差は、偏差値にして約10の大きさでした[2]。
家庭の条件と学力が結びついていることは、くり返し確かめられています。
それでも「親のせい」と言い切れない3つの理由
1. 関係があっても、原因とは限らない
報告書自身が、相関関係を調べただけで因果関係が示されるわけではないと注意書きをしています[1]。
令和6年度の報告書でも、ひとり親世帯であることが学力の低下をもたらす因果関係を示すものではない、とはっきり書かれています[2]。
2. いちばん大きな差は、親が選べない条件から
SESは、年収や学歴、職業から作られています。今日の声かけや努力で、すぐに変えられるものではありません。
差の多くがここから来ているなら、それは「親の育て方が悪い」という話とは別のことです。
3. 同じ条件でも、子どもの結果はばらばら
SESがいちばん低いグループの小6でも、14.3%は学力の上位25%に入っていました[1]。
平均だけを見ると見えにくいのですが、家庭の条件で子どもの結果が決まってしまうわけではありません。
さらに、親の関わりと成績は、逆向きにも影響し合います。
ドイツの小学4年生の研究では、成績が低いと親の口出しが増えるという関連も見られました[3]。
「親が悪いから勉強しない」だけでなく、「勉強がうまくいかないから親が焦る」こともある、ということです。
親の関わりで、学力と結びついていたこと
報告書では、SESの影響を差し引いても学力と結びついていた親の関わりがありました。
数字は「どのくらい結びつきが残ったか」の目安で、大きいほど関連が強いことを表します。
| 親の関わり | SESを考える前 | SESを考えた後 |
|---|---|---|
| 小さいころ絵本の読み聞かせをした | 0.207 | 0.125 |
| 図書館に連れていく | 0.192 | 0.133 |
| 子どもの友達の名前を知っている | 0.088 | 0.073 |
SESを考えると数字は小さくなりますが、ゼロにはなりませんでした。家庭の条件とは別に、関わり方の影響も少し残ると読めます。
ただし、これも相関です[1]。
SESがいちばん低い1割の小6で、学力が上位の子と下位の子をくらべた表もあります。
上位の子は、朝食を毎日食べている割合が84.1%(下位は68.2%)でした。
家で自分で計画を立てて勉強している割合も、33.2%と19.1%で差がありました[1]。
親が変えやすい3つのこと
年収や学歴はすぐには変えられません。そこで、上の調査で学力と結びついていた中から、家庭で変えやすいものを3つ選びました。
効果が確かめられたものではなく、筆者の整理です。
1. 生活のリズム(朝ごはんと睡眠)
朝食や寝る時間は、勉強の前の土台です。厚生労働省の睡眠ガイドは、小学生は9〜12時間の睡眠を目安にしています[5]。
勉強時間を増やす前に、ここを整えるほうが親子ともに楽です。
2. 本や言葉にふれる機会
読み聞かせや図書館は、SESを考えた後も学力と結びついていました[1]。
高学年なら、図書館に一緒に行く・本を手に取れる所に置く、くらいで十分だと思います。
3. 学校や将来の話をする
中学生を対象にした50本の研究の分析では、勉強の価値や将来の計画を親子で話す関わりが、成績といちばん結びついていました。
宿題を手伝うことは、もっとも強い負の関連でした[4]。教えるより、話す時間を持つほうに力を回してよさそうです。
友達の名前を知っていることも、小さいながら関連が残っていました[1]。学校の話を聞くことは、勉強の話をしなくてもできる関わりです。
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正直なところ:この記事の限界
- 数字は全国の平均です。一人ひとりの家庭に、そのまま当てはまるわけではありません。
- 表1と表2は令和3年度のデータです。最新の令和6年度の分析は、親の関わりの細かい項目までは確かめられませんでした。
- 「親が変えやすい3つ」は、関連があったことからの筆者の提案で、やれば学力が上がると確かめられたものではありません。
次の一歩
今日できるのは、3つのうち1つを選ぶことです。たとえば「寝る時間を15分早める」「週末に図書館へ行く」くらいの小ささで十分です。
勉強しない理由そのものを見直したい時は「子どもが勉強しない…原因と、親ができること」へ、関わりを減らしてよいか迷う時は「ほっとくのはアリ?見守ると放置のちがい」へどうぞ。
よくある疑問
子供が勉強しないのは、親の育て方のせいですか?
言い切れません。家庭の経済や学歴の条件と学力には関係がありますが、報告書は因果関係を示すものではないと注意しています。
同じ条件でも、子どもの結果はばらばらでした。
共働きで勉強を見られないのは、よくないですか?
共働きかどうかと学力の関係は、この記事で使った資料では確かめていません。
宿題を手伝うことが成績とよい関連を示さなかった分析もあり、見る時間の長さだけで決まるとは言えません。
親が勉強を教えたほうが、成績は上がりますか?
中学生の研究の分析では、宿題を手伝うことはもっとも強い負の関連を示しました。
勉強の価値や将来を話す関わりのほうが、成績との結びつきが強かったと報告されています。
親として、まず何から変えればいいですか?
「生活のリズム」「本にふれる機会」「学校や将来の話」の3つから、1つだけ選ぶのがおすすめです。どれも、今日から小さく始められます。
参考にした資料
- お茶の水女子大学「令和4年度 学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究 研究成果報告書(保護者調査を活用した専門的分析)」(令和5年3月31日、文部科学省委託)(文部科学省の掲載PDFで、令和3年度保護者調査の回収数、SESの作り方、図表2-1・2-3のSES別平均正答率、Lowest SESの小6のうち学力A層14.3%、図表1-8(SES下位10%の朝食84.1%・68.2%、計画的な家庭学習33.2%・19.1%)、第3章の標準偏回帰係数、「因果関係が示唆されるわけではない」という注意書きを確認。2026年11月2日に閲覧)
- 福岡教育大学「経年変化分析調査及び保護者に対する調査の結果等を活用した専門的な分析」(令和7年度文部科学省委託事業 研究成果報告書、令和8年3月27日)(文部科学省の掲載PDFで、令和6年度の小6のSES上位25%と下位25%の差が0.99標準偏差(偏差値で約9.9)であること、第3章の「因果関係を示すものではない」という記述を確認。2026年11月2日に閲覧)
- Benckwitz, Kohl, Roloff, Lüdtke, Guill「Reciprocal relationships between parental and scholastic homework assistance and students' academic functioning at elementary school」Frontiers in Psychology, 2023(出版社の本文ページの要旨で、ドイツの小学4年生335人、親の統制と成績が相互に関連したことを確認。2026年11月2日に閲覧)
- Hill, Tyson「Parental involvement in middle school: A meta-analytic assessment of the strategies that promote achievement」Developmental Psychology, 2009(論文PDFで、50本の研究、勉強の価値や将来を話す関わりの関連がもっとも強く、宿題の手伝いがもっとも強い負の関連だったことを確認。2026年11月2日に閲覧)
- 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月、厚生労働省)(p.15の小学生9〜12時間の目安を確認。2026年11月2日に閲覧)
この記事について:数字は、2026年11月2日に文部科学省の掲載PDFを開いて確かめたものです。SESのグループ名(いちばん低い〜いちばん高い)は、報告書のLowest〜Highestを筆者が訳しました。スマイルゼミの体験は運営者の家庭のものです。