勉強しない子の将来は?学習時間と学力のデータで冷静に見る
「このまま勉強しなかったら、この子の将来はどうなるんだろう」。夜になると、そんな不安が大きくなることがありますよね。
勉強しない原因や全体の対策は「子どもが勉強しない…原因と、親ができること」にまとめました。
この記事では、将来への不安を公的なデータで落ち着いて見ていきます。
この記事を書いた人:神奈川で共働き・子ども3人の親です。無料の九九ゲーム「九九ダッシュ」を作っています。数字は、国の調査の報告書や統計を開いて確かめました。
学習時間と学力は、どのくらい結びついている?
令和3年度の全国学力・学習状況調査を分析した報告書には、平日の学校外の学習時間ごとの平均正答率がのっています。
小学6年生の結果は次のとおりです。
| 平日の学習時間 | 平均正答率 |
|---|---|
| 3時間以上 | 78.6 |
| 2時間以上、3時間より少ない | 70.2 |
| 1時間以上、2時間より少ない | 68.3 |
| 30分以上、1時間より少ない | 64.5 |
| 30分より少ない | 58.6 |
| 全くしない | 54.0 |
時間の区分の書き方は、報告書の並びをもとに筆者が整えました。
学習時間が長いほど、平均正答率は高くなっています。令和6年度の分析でも、学習時間が長いほど学力が高い関係が確かめられています[2]。
ここだけ見ると、不安になるのも無理はありません。
「関係がある」と「原因になる」は別のこと
報告書は、この結果について因果関係が示されるわけではないと注意しています[1]。考えられる向きは3つあります。
勉強したからわかるのか、わかるから勉強するのか。ほかの何かが両方に効いている場合もあり、この表だけでは区別できません。
「勉強しない → 将来が決まる」という一本道に見えても、実際はいくつもの向きが重なっています。
だからこそ、表の数字で一人の子の将来を占うことはできません。
学習時間だけでは決まらない
家庭の環境の影響も大きい
同じ報告書では、家庭の社会経済的背景(SES)と学習時間を組み合わせても調べています。
同じSESの中では、学習時間が長いほど正答率は高い傾向でした[1]。
一方で、中3では、SESがいちばん低いグループで3時間以上勉強する生徒の平均正答率が56.0でした。
SESがいちばん高いグループで全く勉強しない生徒は62.1です[1]。報告書は、学習時間の効果には限界がある可能性を示しています[1]。
家庭の環境と学力の関係は「勉強しないのは親のせい?」でくわしく読みました。
同じ時間でも、勉強のしかたで差がある
ベネッセ教育総合研究所の2014年の調査では、中学生で「成績が上位で学習時間が短い」グループと「成績が下位で学習時間が長い」グループをくらべています。
上位のグループは丸つけの後に解き方や考え方を確かめる割合が21.4ポイント高くなっていました[3]。
長く座っていることより、「わかった」を1つずつ増やすことのほうが大切そうだ、と読めます。
進路のデータも見ておく
令和7年度の学校基本調査では、高校などを卒業した人の大学・短大への進学率は61.4%、専門学校への進学率は14.4%でした[4]。
就職を選ぶ人もいます。
進路はいくつもあります。小学生の今の勉強時間だけで、行き先は決まりません。
小学生のうちに、今からできること
ここからは、上のデータをもとにした筆者の提案です。効果が確かめられたものではありません。
時間より「わかった」を増やす
丸つけの後に、間違えた1問だけ解き方を一緒に確かめます。勉強時間を30分延ばすより、親子ともに負担が少ない方法です[3]。
短い時間を毎日に
「全くしない」と「30分より少ない」の間にも、平均正答率の差がありました[1]。最初は10分でもかまいません。
続け方は「家庭学習の習慣づけ」にまとめました。
生活リズムを先に整える
小学生は9〜12時間の睡眠が目安です[5]。眠い状態で机に向かっても、わかった感覚は得にくいものです。
将来の話は、押しつけずに
中学生を対象にした分析では、勉強の価値や将来の計画を親子で話す関わりが、成績といちばん結びついていました[6]。
「勉強しないと困るよ」と脅すより、子どもの「やってみたい」を聞くところから始めるのがよさそうです。
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正直なところ:データで言えないこと
- 表の数字は全国の平均です。一人ひとりの将来を予測するものではありません。
- 表1は令和3年度のデータです。その後の年度で数字は変わっている可能性があります。
- 学習時間は、子ども自身の回答をもとにしています。
- 「勉強しない子の末路」のような言い方を支える公的なデータは、今回見つかりませんでした。
次の一歩
不安なときほど、大きく変えたくなります。でも、まずは「丸つけの後に1問だけ確かめる」くらいから始めてください。
原因から見直したいときは「子どもが勉強しない…原因と、親ができること」、わが子のタイプを知りたいときは「勉強しない子の特徴、5タイプのどれ?」が役に立ちます。
よくある疑問
勉強しない子は、将来困りますか?
学習時間が長い子ほど平均正答率が高いという関係はあります。ただし報告書は、因果関係が示されるわけではないと注意しています。
家庭の環境や勉強のしかたでも結果は変わり、今の様子で将来が決まるわけではありません。
小学生のうちは勉強しなくても大丈夫ですか?
大丈夫とも危ないとも、データからは言い切れません。
「全くしない」と「30分より少ない」の間にも平均正答率の差があったので、短い時間でも毎日続ける形をおすすめします。
勉強時間を増やせば、成績は上がりますか?
時間だけで決まるとは言えません。同じくらいの時間でも、丸つけの後に解き方を確かめる子は成績が上位の傾向がありました。
時間を延ばすより、わかったことを増やす工夫が先です。
「勉強しないと将来困るよ」と言うのはよくないですか?
よくないと確かめた資料は見つかりませんでした。
ただ、勉強の価値や将来の計画を親子で話す関わりは、成績との結びつきが強いと報告されています。
脅す形より、子どもの話を聞く形のほうが無理がないと考えています。
参考にした資料
- お茶の水女子大学「令和4年度 学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究 研究成果報告書(保護者調査を活用した専門的分析)」(令和5年3月31日、文部科学省委託)(文部科学省の掲載PDFで、図表2-2の小6の学習時間別平均正答率(78.6・70.2・68.3・64.5・58.6・54.0)、中3のLowest SESで3時間以上56.0・Highest SESで全くしない62.1、学習時間の効果に限界がある可能性、「2変数間の相関関係を調べているだけであり、因果関係が示唆されるわけではない」という注意書きを確認。2026年11月2日に閲覧)
- 福岡教育大学「経年変化分析調査及び保護者に対する調査の結果等を活用した専門的な分析」(令和7年度文部科学省委託事業 研究成果報告書、令和8年3月27日)(文部科学省の掲載PDFで、SESが高く学習時間が長いほど学力が高い関係が令和3年度・6年度の両方で確認されたこと、学習時間は子ども自身の回答であることを確認。2026年11月2日に閲覧)
- ベネッセホールディングス(ベネッセ教育総合研究所)「「小中学生の学びに関する実態調査」速報」(2014年11月19日。2014年2〜3月、小4〜中2の子どもと保護者5,409組。中学生の「成績上位・学習時間が短い」群が「成績下位・学習時間が長い」群より、○つけの後に解き方や考え方を確かめる割合が21.4ポイント高いことを確認。2026年11月2日に閲覧)
- 文部科学省「令和7年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値について」(令和7年12月26日。表3で、令和7年3月卒業者の大学・短大進学率61.4%、専門学校進学率14.4%を確認。2026年11月2日に閲覧)
- 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月、厚生労働省)(p.15の小学生9〜12時間の目安を確認。2026年11月2日に閲覧)
- Hill, Tyson「Parental involvement in middle school: A meta-analytic assessment of the strategies that promote achievement」Developmental Psychology, 2009(論文PDFで、勉強の価値や将来を話す関わりの関連がもっとも強かったことを確認。2026年11月2日に閲覧)
この記事について:数字は、2026年11月2日に文部科学省・ベネッセの掲載PDFを開いて確かめたものです。図1と「今からできること」は筆者の整理と提案です。スマイルゼミの体験は運営者の家庭のものです。