九九が覚えられないのは発達障害?算数障害(LD)の考え方と、相談先・家庭でできる工夫
毎日練習しているのに、九九がなかなか覚えられない。
3年生になっても言えない段がある——そんなとき、「もしかして発達障害?」と心配になる方もいると思います。
このページでは、学習障害の考え方と、相談先、家庭でできる工夫をまとめました。
この記事で何かを判断することはできません。気になるときは、学校や専門機関に相談してください。
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九九ダッシュは、ブラウザで遊べる九九ゲームです。段をえらぶ・きいてこたえる・タイムアタック・にがてたいじの4つのあそび方があります。
無料の九九ゲーム「九九ダッシュ」であそぶ九九でつまずくこと自体は、めずらしくない
九九は、多くの子がどこかでつまずく学習です。
2年生の調査でも、6・7・8の段の正答率が低く、6×8・8×6・6×7・7×6などの誤答が多かったと報告されています[4]。
苦手な段がある、言いまちがいが多い、というだけで、発達障害と結びつける必要はありません。
学習障害(LD)・算数障害とは
文部科学省の報告では、学習障害を、全般的な知的発達に遅れはないものの、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す、さまざまな状態を指すものとしています[1]。
このうち、「計算する」「推論する」に困難がある場合を「算数障害」と呼ぶ、という専門家の説明があります[2]。
HugKumの記事では、何度暗唱しても九九を覚えられないのは、本人の努力不足ではなく、算数障害の特性による可能性もある、という専門家の見解が紹介されています[5]。
ただし、診断は医師などの専門家が行うものです。家庭や学校の様子だけで決めることはできません。
相談を考えたいサイン(目安)
次のようなことが長く続くときは、一度相談してみると安心です(運営者がまとめた目安で、診断の基準ではありません)。
- 毎日練習しているのに、前の日に言えた段を、次の日にはほとんど忘れている
- 九九だけでなく、数の大小、繰り上がりのある足し算なども、同じ学年の子とくらべて大きくつまずいている
- 本人が強いつらさを感じていて、算数の時間をいやがる
相談先
1 担任の先生
学校での様子を知っているのは担任の先生です。家での様子を伝え、学校ではどうかを聞いてみましょう。
2 特別支援教育コーディネーター
文部科学省の資料では、学校の特別支援教育コーディネーターが、保護者に対する学校の窓口の役割を担うとされています[3]。
3 地域の相談機関・医療機関
自治体の教育相談、発達相談の窓口、小児科などがあります。どこに相談すればよいかは、学校や自治体の窓口で教えてもらえます。
家庭でできる工夫
「聞いて覚える」以外の方法も試す
九九は唱えて覚えるのが一般的ですが、音だけでは覚えにくい子もいます。
HugKumの記事では、「音ではなく、場所で覚える」視覚的な九九表の考え方が紹介されています[5]。
九九表を見ながら答える、色分けした九九表を使う、など、目で確かめる方法も組み合わせてみましょう。
一度に覚える量を減らす
学習の困難に、ワーキングメモリ(頭の中に情報を少しの間とどめておく力)が影響している可能性を示す実践報告もあります[6]。
1回に練習する九九を2〜3個にしぼり、言えたら1つずつ足していきましょう。
「入れかえ」や「きまり」を使う
7×6が出てこないときは6×7を使う、9の段は答えのきまりを使う、など、全部を暗記しなくても答えにたどりつける方法を教えるのも一つです。
九九表を見ながら計算してもいい場面をつくる
九九を覚えることと、かけ算を使って問題を解くことは、別の力です。
覚えるのに時間がかかる場合は、宿題などで九九表を見ながら解くことを先生と相談するのも方法です。
よくある疑問
3年生になっても九九が言えません。遅すぎますか?
遅すぎることはありません。3年生のわり算や、かけ算の筆算で九九を使うので、苦手な段にしぼって練習を続けましょう。
つらさが大きいときは、学校に相談してください。
病院に行ったほうがいいですか?
まずは担任の先生に相談し、学校での様子を聞くのがおすすめです。
そのうえで、必要に応じて、学校や自治体の窓口から専門機関を紹介してもらえます。
九九ダッシュは、苦手な子にも使えますか?
「にがてたいじ」で、まちがえた九九だけをくり返し練習できます。
「きいてこたえる」は耳で、九九マップは目で、覚えた九九を確かめられます。
ただし、困りごとが大きい場合は、まず専門家に相談してください。
参考にした資料
- 文部科学省「学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について」(平成11年7月の報告からの抜粋ページ。LDの定義の文言を確認)
- 広島県「算数の学びにくさに関する資料」(熊谷恵子(2018)の、算数障害は学習障害の領域のうち「計算する」「推論する」に困難がある者に当たる、という説明の引用を確認(検索結果の要約で確認))
- 文部科学省「特別支援教育に関する資料(第1部 概論)」(特別支援教育コーディネーターが、保護者に対する学校の窓口としての役割を担うと書かれていることを確認。資料の発行年は確認できていません)
- ベネッセ教育総合研究所「小学生の計算力に関する実態調査 2013 報告書」(2年生の乗法九九の結果の部分。正答率の低い段が6・7・8の段、乗数で注意が必要なのが4・7・8、最も多い誤答が6×8・8×6・6×7・7×6の式、「し」「しち」などの混同、言い間違いが原因と思われるとの考察を確認。表の数値はPDFの読み取りが安定せず、確認できませんでした)
- HugKum(小学館)「「九九」は聞いて覚える?見て覚える?」(何度暗唱しても覚えられないのは努力不足ではなく算数障害の特性による可能性がある、という専門家の見解の紹介と、「音ではなく場所で覚える」視覚的な九九表の考え方を確認(検索結果の要約で確認))
- 大阪教育大学「ワーキングメモリに配慮した学習指導の実践報告」(学習の困難にワーキングメモリが影響している可能性と、短時間のアセスメントで配慮が必要な生徒を把握できたという報告を確認(検索結果の要約で確認))
この記事について:この記事を書いた環境から資料のページを開けなかったため、「検索結果の要約で確認」と書いた資料は、検索結果の題名と要約で内容を照合しました。数字や文言は原文で確かめてください。文部科学省の2つの資料とベネッセの調査は、以前の記事で資料を開いて確認したものです。この記事は医療・教育の専門家の監修を受けていません。「相談を考えたいサイン」は運営者のまとめで、診断の基準ではありません。