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家庭学習の習慣づけ|小学生が自分から机に向かう5つのステップ

公開:2026-10-02 最終更新:2026-10-03 運営:九九ダッシュ運営

「言われないと勉強しない」「すぐ飽きてしまう」。家庭学習の習慣づけは、多くのご家庭の悩みです。このページでは、はじめに全国調査などの数字で子どもたちの家庭学習の今を確かめ、次に習慣や計画づくりの研究でわかっていることを整理し、そのあとで家庭でできる5つのステップを紹介します。研究には大人を対象にしたものも含まれるので、「確かめられたこと」と「一般にいわれる工夫」を分けて書きました。

子どもたちの家庭学習は、いまどうなっている?

まず国の調査です。全国学力・学習状況調査は、令和7年度は2025年4月14〜17日に、小学校6年生と中学校3年生を対象に行われました[2]。この調査で、学校の授業時間以外に、月曜日から金曜日の1日どれくらい勉強するかを聞いた結果が図1です[1]。令和7年度の小学校6年生は、「1時間以上」が54.3%(3時間以上12.4%、2〜3時間未満12.9%、1〜2時間未満29.0%を足した値)、「30分より少ない」と「全くしない」を合わせて18.4%でした。令和元年度は、「1時間以上」が66.2%、「30分より少ない」と「全くしない」の合計が9.8%です(足し算は筆者)。

小学校6年生の平日の家庭での勉強時間の分布(令和元年度と令和7年度)全国学力・学習状況調査で、学校の授業時間以外に平日勉強する時間を聞いた結果。令和元年度は、3時間以上12.7%、2時間以上3時間未満16.9%、1時間以上2時間未満36.6%、30分以上1時間未満23.9%、30分未満7.5%、全くしない2.3%。令和7年度は、3時間以上12.4%、2時間以上3時間未満12.9%、1時間以上2時間未満29.0%、30分以上1時間未満27.3%、30分未満12.8%、全くしない5.6%です。小学校6年生が「学校の授業時間以外」に平日勉強する時間(%)令和元年度令和7年度01020304012.712.43時間以上16.912.92〜3時間未満36.629.01〜2時間未満23.927.330分〜1時間未満7.512.830分未満2.35.6全くしない%
図1 小学校6年生が学校の授業時間以外に平日勉強する時間。数字は国立教育政策研究所の報告書の値を写したもので、棒の高さは数字に比例させています(0から40%の目盛り)。区分名の「以上」「より少ない」は省略して書いています。出典:全国学力・学習状況調査 質問調査 質問17[1]

割合が変わった理由は、この資料からはわかりません。勉強時間の長さだけで、学びの深さが決まるわけでもありません。ただ、「ほとんど家で勉強しない」と答える子の割合が、数年前より少し大きくなっていることは、数字として確かめられます。

もう一つは、ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所の「子どもの生活と学びに関する親子調査」です。2015年から毎年、小学1年生から高校3年生の親子約2万組を対象に続けられている調査で、調査モニターに協力を求める形で行われています[4][3]。小学4〜6年生が答えた1日の学習時間は、2015年の83分から2025年の66分になりました。内訳は図2のとおり、学校の宿題が44分から30分、宿題以外の勉強が26分から22分、学習塾が13分から14分です[3]。発表資料では、宿題以外の家庭学習をしない子どもが11年で10ポイント前後増え、4〜5割になったとも報告されています。ただし、学年ごとの数字までは確認できていません[4]。

小学4〜6年生の1日の学習時間の内訳(2015年と2025年)2015年は学校の宿題44分、宿題以外の勉強26分、学習塾13分で合計83分。2025年は学校の宿題30分、宿題以外の勉強22分、学習塾14分で合計66分です。小学4〜6年生の1日の学習時間(子ども本人の回答・分)学校の宿題宿題以外の勉強学習塾020406080100分2015年442613合計83分2025年302214合計66分
図2 小学4〜6年生の1日の学習時間の内訳(2015年と2025年)。数字は報告書の図1-4-1の値を写したものです。出典:子どもの生活と学びに関する親子調査2025[3]

同じ全国調査では、「分からないことがあったとき、自分で学び方を考え、工夫することはできていますか」という質問もあります。令和7年度の小学校6年生は、「できている」が32.7%、「どちらかといえば、できている」が49.1%でした(合わせて81.8%は筆者の計算)[1]。自分の言葉で答えた結果なので、実際にどれだけできているかまではわかりませんが、多くの子が「自分でやり方を考えられる」と感じていることがわかります。

習慣や計画づくりについて、研究でわかっていること

習慣になるまでの日数には、大きな個人差があります。2010年の研究では、96人のボランティアが、食事・飲み物・運動のどれかの行動を1つ選び、「朝食のあとに」のように毎日同じ場面で行い、どれくらい自然にできるようになったかを12週間記録しました。自然にできるようになるまでにかかった日数は、人によって18日から254日までと大きく幅がありました。また、1回やり忘れても、習慣づくり全体にはほとんど影響しませんでした[5]。ただし、対象は96人のボランティアで、小学生の勉強を調べたものではありません。「○日で身につく」と決めつけず、人によって違うものだと考えるための材料です。

「いつ・どこで・何をするか」を先に決めると、目標は達成されやすくなります。ゴルウィッツァーとシーランが2006年にまとめた分析では、94の検証結果を集めると、「もし〜なら、〜する」の形で行動を事前に決めた人は、そうでない人より目標を達成しやすく、効果の大きさは「中程度から大きい」(d=0.65)でした[6]。いろいろな目標を集めた分析で、小学生の家庭学習だけを調べたものではありません。

親の関わり方は、種類によって結びつく結果がちがいます。小学3〜6年生の子の親114人(母64人、父50人)を調べた1989年の研究では、親の関わりを、子どもの自主性を支えること、かかわり、ルールや見通しを示すことの3つに分けると、学校での様子や成績との結びつき方がそれぞれ異なっていました[8]。また、2008年の分析では、親が宿題への関わり方を学ぶ14の研究をまとめると、宿題の提出が増え、宿題での困りごとが減り、小学生では成績にもよい影響があるかもしれない、とされています。親の関わりと成績の関連を調べた22の集計では、小学生と高校生では正の関連、中学生では負の関連があり、ルールを決める関わりは、ほかの関わりより結びつきが強いという結果でした[9]。「どんな関わり方か」「何年生か」によって結果が変わるため、「関わるほどよい」「放っておくほどよい」とは言えません。

家庭でできる5つのステップ

ここからは家庭での工夫です。研究で確かめられたのは「前もって決める」「毎日同じ場面で行う」などの一部で、ほとんどは一般にいわれる工夫です。お子さんによって合う方法は違うので、試しながら調整してください。

家庭学習の習慣づけ 5つのステップの全体図階段のように並んだ5つのステップ。1 時間と場所を決める(計画の研究あり)、2 最初は短く10分でもOK(習慣の研究を参考)、3 終わりが見える量に(一般にいわれる工夫)、4 できたことを見える形に(ごほうびは注意)、5 保護者は見守り役に(親の関わりの研究)。家庭学習の習慣づけ 5つのステップ1時間と場所を決める計画の研究あり2最初は短く10分でもOK習慣の研究を参考3終わりが見える量に一般にいわれる工夫4できたことを見える形にごほうびは注意5保護者は見守り役に親の関わりの研究
図3 5つのステップの全体図。各ステップの下の言葉は、この記事での根拠の種類(研究あり、または一般にいわれる工夫)を表します。

ステップ1:時間と場所を決める

「いつ・どこで・何をする」を決めて、図4のように「もし〜なら、〜する」の形にすると、前もって決める研究[6]に沿った進め方になります。夕食前や、帰宅後のおやつのあとなど、お子さんの生活リズムに合うタイミングを、一緒に決めましょう。保護者の目が届くリビングなどは、声をかけやすく安心です。これは一般にいわれる工夫で、場所による効果を比べた研究は、今回は確認できていません。

いつ・どこで・何をするかを決める計画の例「おやつを食べ終わったら」「リビングのテーブルで」「算数ドリルを1ページ」と、いつ・どこで・何をするかを順番に決める例。説明用に作った例です。「もし〜なら、〜する」の形で決めておく(書き方の例)いつおやつを食べ終わったらどこでリビングのテーブルでなにを算数ドリルを1ページ内容はご家庭ごとに変えてOK。この例は説明用に作ったものです。
図4 「もし〜なら、〜する」の計画の書き方の例。説明用の例で、研究で使われた文面ではありません。考え方は、事前に行動を決めると目標を達成しやすいという分析[6]

ステップ2:最初は短く、10分でもOK

最初は短い時間から始め、「毎日同じ場面で行う」ことを優先します。学年に応じて「1年生なら10分、2年生なら20分」のように目安を決めるご家庭もありますが、この目安を裏づける資料は今回確認できていません。目安というより、お子さんの様子に合わせて決めるものと考えてください。参考までに、ベネッセの調査で小学4〜6年生が「宿題以外の勉強」に使っていた時間は、1日22分でした[3]。

ステップ3:終わりをはっきりさせる

「ドリル1ページ」「計算10問」のように、終わりが見える量にすると、取りかかりやすくなります。時間で区切るなら、残りが目に見える学習用タイマーを使うご家庭もあります。終わりの時間を決めておけば、「物足りないくらい」で切り上げて、翌日につなげることもできます。これも一般にいわれる工夫です。

ステップ4:できたことを目に見える形にする

カレンダーにシールを貼る、ノートにスタンプを押すなど、続けた日が見える工夫はよく使われます。ただし、ごほうびの与え方には注意が必要です。128の実験をまとめた1999年の分析では、形のある物のごほうびは、課題への内発的なやる気(自分から取り組みたい気持ち)を下げる傾向があり、その影響は大学生より子どもで大きいとされています。一方、言葉でのほめや前向きなフィードバックは、興味を高める結果でした(効果の大きさはおよそ0.3。ただし子どもでは大学生より効果が小さい傾向)[7]。これは主に実験室での課題を調べた研究です。シールは「ごほうび」ではなく「続けた記録」として使い、「今週は4日できたね」と事実を言葉で伝えるほうが、無理がありません。ほめるときは、点数や頭のよさより、取り組みに目を向けるとよいとされています。小学5年生を対象にした6つの実験では、頭のよさをほめられた子は、失敗したあとの粘り強さや楽しさが下がりやすいという結果でした[10]。

ステップ5:保護者は「見守り役」に

つきっきりで教えるのではなく、始める前と終わったあとに声をかける程度でも十分です。「今日は何からやる?」「ここまでやったんだね」と、お子さんの話を聞く時間を大切にしてください。研究でも、親の関わりは、種類によって結果との結びつきが異なっていました[8][9]。どこまで手を出すかは、お子さんの学年や得意不得意によって変わります。

続かない日があっても、やめなくて大丈夫

風邪や学校行事で、習慣が途切れる日は必ず来ます。習慣づくりの研究では、1回やり忘れても全体にはほとんど影響しませんでした[5]。「今日はお休みの日」と決めて、次の日に再開すれば大丈夫です。「できなかった日」を責めるより、「戻ってこられたこと」を認めるほうが、長続きするコツといわれます。

よくある疑問

1日に何分くらいやればよいですか?

公的に決められた「この時間が正解」という数字は、今回確認できませんでした。参考として、令和7年度の小学校6年生では、授業時間以外に平日「1時間以上」勉強する子が54.3%、「30分以上1時間未満」が27.3%でした[1]。お子さんの学年や、習い事・睡眠の時間とのバランスで決めてください。

毎日できないとだめですか?

研究では、1回やり忘れても習慣づくりにほとんど影響しませんでした[5]。ただし小学生の勉強を調べたものではないので、目安として受け止めてください。無理のない頻度から始めるのが続けやすいでしょう。

うちの子だけ机に向かえないのでしょうか?

全国調査でも、授業時間以外にほとんど勉強しないと答えた小学校6年生は、「30分より少ない」「全くしない」を合わせて18.4%いました[1]。決して珍しいことではありません。

どうしても勉強に向かえない日が続くときは?

宿題にもほとんど取りかかれない、勉強の話をすると強くいやがる、体調や気持ちの落ち込みが心配、といった様子が続くときは、家庭だけで抱えず、学校の担任の先生やスクールカウンセラー、自治体の教育相談窓口に相談してみてください。この記事は診断や治療の助言ではありません。

参考にした資料

  1. 国立教育政策研究所「令和7年度全国学力・学習状況調査 報告書【質問調査】 質問の経年変化」(小学校の質問17「学校の授業時間以外の勉強時間」の平成27年度〜令和7年度の割合と、質問16「自分で学び方を考え、工夫することはできていますか」の令和7年度・6年度の割合を、文書を開いて確認。図1の数字は、令和元年度と令和7年度の行。)
  2. 国立教育政策研究所「令和7年度全国学力・学習状況調査 調査結果のポイント」(調査の実施日が令和7年4月14日〜17日、対象が小学校6年生と中学校3年生であることを確認。)
  3. ベネッセ教育総合研究所・東京大学社会科学研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2025 報告書」(図1-4-1で、小4〜6生の学習時間の内訳(宿題・宿題以外の勉強・学習塾・合計)が2015年と2025年で比べられていること、回答者が子どもであることを確認。)
  4. ベネッセ教育総合研究所・東京大学社会科学研究所「「子どもの生活と学びに関する親子調査2015-2025」結果(ニュースリリース)」(2015〜2025年に小1〜高3の親子約2万組を追った調査であること、「宿題以外の家庭学習をしない子ども」が10ポイント前後増えて4〜5割になったという記述を確認。)
  5. Lally, van Jaarsveld, Potts, Wardle「How are habits formed: Modelling habit formation in the real world」European Journal of Social Psychology, 2010(論文情報ページの要旨で、96人のボランティア、食事・飲み物・活動の行動を毎日同じ場面で行ったこと、12週間、自然にできるまでの日数が18〜254日、1回やり忘れても大きな影響がなかったことを確認。出版社のページは開けなかった。)
  6. Gollwitzer, Sheeran「Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes」Advances in Experimental Social Psychology, 2006(コンスタンツ大学の登録ページの要旨で、94の独立した検証、効果の大きさd=.65を確認。)
  7. Deci, Koestner, Ryan「A meta-analytic review of experiments examining the effects of extrinsic rewards on intrinsic motivation」Psychological Bulletin, 1999(梨花女子大学の研究成果ページの要旨で、128の研究、形のある報酬は子どもでより悪影響が大きい傾向、言葉の報酬の効果の大きさ(d=0.33、0.31)と子どもで効果が小さい傾向を確認。)
  8. Grolnick, Ryan「Parent styles associated with children's self-regulation and competence in school」Journal of Educational Psychology, 1989(ERICの登録ページの要旨で、小3〜6の子の母64人・父50人を対象に、自律性支援・関与・構造の3つを調べたことを確認。数字の結果は要旨にはなく、本文は開けていない。)
  9. Patall, Cooper, Robinson「Parent involvement in homework: A research synthesis」Review of Educational Research, 2008(ERICの登録ページと出版社ページの要旨で、14の研究と22の集計(20の研究)の結果を確認。)
  10. Mueller, Dweck「Praise for intelligence can undermine children's motivation and performance」Journal of Personality and Social Psychology, 1998(Semantic Scholarの論文ページの要旨で、小学5年生、6つの実験、頭のよさをほめられた子は失敗後の粘り強さと楽しさが下がったことを確認。)

この記事について:上の資料を実際に開いて、書かれている内容と数字を確かめて書きました。図1・図2の数字は出典の値をそのまま写したものです。自分で計算したのは、「1時間以上」(3区分の合計)、「30分より少ない+全くしない」の合計、「できている+どちらかといえば、できている」の合計だけです。
確認できていないことは次のとおりです。(1)国立教育政策研究所の報告書の表は、ページを開く道具を通して読み取りました。同じ表を複数回読んで数字が一致することは確かめましたが、PDFを画面で直接見てはいません。質問17の質問文に「塾などを含む」という但し書きがあるかも確認できていません。(2)ベネッセの調査は、図1-4-1と発表資料の記述を確認しましたが、「家庭学習0分層」の学年別の数字は見つけられませんでした。(3)習慣の研究(Lally)と計画の研究(Gollwitzer)は、要旨だけを確認し、本文は開けていません。参加者の年齢などの詳しい情報は、要旨からは確かめられていません。(4)「学年×10分」などの目安の根拠。(5)時間・場所・シールなどの工夫が小学生の家庭学習に効果があるかを調べた研究。専門家の監修は受けていません。診断や治療の助言ではありません。お子さんの様子が気になるときは、学校の先生や専門機関にご相談ください。内容に誤りがあれば、お知らせください。

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