小学生の通信教育の選び方|比べるときに見たい5つのポイント
通信教育は、教材の種類も料金もさまざまで、「結局どれがうちの子に合うの?」と迷いやすい分野です。このページでは、まず、公立小学校の家庭が学習塾や通信教育などにどのくらい支出しているかという国の調査、学校で学ぶ内容と授業時数、学校のデジタル教科書の動きを、資料を開いて確かめました。そのうえで、比べるときの5つのポイントを整理しています。特定の教材をすすめたり、順位をつけたりする記事ではありません。料金や内容は変わるので、各社の公式サイトで確認してください。
公立小学校の家庭は、学校外の学習にいくら使っているか
文部科学省の「子供の学習費調査」は、保護者が子どもの教育のために使った費用を調べる調査です。令和5年度は、令和5年4月1日から令和6年3月31日の1年間の支出が対象で、公立小学校は405校、6,627人分が集計されました[1]。公立小学校の学習費の総額は、子供1人あたり年間366,599円で、そのうち学校外活動費が256,489円でした[1]。
学校外活動費のうち、予習・復習・補習など、学校教育に関係する学習のための費用を「補助学習費」といいます[1]。通信教育に近いのは、その中の「通信教育・家庭教師費」で、家庭教師への月謝、教材費、通信添削などの費用がふくまれます[1]。つまり、この数字は通信教育だけの金額ではなく、家庭教師の費用も入っています。
公立小学校の補助学習費の平均は92,898円です。内訳は、学習塾費が56,167円、通信教育・家庭教師費が20,996円、家庭内学習費が14,105円、その他が1,630円でした[2](図1)。
この平均は、費用をまったく使っていない家庭も入れた平均です。表をもう少し見ると、公立小学校で通信教育・家庭教師費が年間0円の家庭は60.5%、学習塾費が0円の家庭は64.8%でした。1円以上支出した家庭だけで平均すると、通信教育・家庭教師費は約53千円、学習塾費は160千円です[2](図2)。
注意したいことが3つあります。1つめは、この平均は「相場」や「みんなが使う金額」ではないことです。使っていない家庭も多く、使っている家庭の間でも金額には差があります。2つめは、「0円」の理由は調査からはわからないことです。学校の宿題で足りている、市販のドリルを使っている、家庭で見ている、など、さまざまな事情が考えられますが、この記事では確認していません。3つめは、この調査は費用を調べたもので、学習の成果や、どの学習方法がよいかを調べたものではないことです。
費用の感じ方については、ベネッセ教育総合研究所の「学校外教育活動に関する調査」(2017年)があります。3歳から18歳の子どもをもつ母親16,170人へのインターネット調査で、約7割が教育費を「お金がかかり過ぎ」と感じていました[3]。小学生だけの数字ではなく、7年以上前の調査ですが、費用を意識して選ぶ家庭が多いことは、想像できます。
学校で学ぶことと、通信教育の「学年・教科」
小学校の現行の学習指導要領は、平成29年3月31日に告示されました[4]。その別表には、学年ごとの各教科の年間の標準授業時数が書かれています。国語は第1学年が306時間、第2学年が315時間、第3・第4学年が245時間、第5・第6学年が175時間です。算数は、第1学年が136時間、第2学年から第6学年までが175時間です[4]。外国語は、第3・第4学年に「外国語活動」が35時間、第5・第6学年に教科としての「外国語」が70時間あります[4](図3)。
図3のように、学年によって教科や時数は変わっていきます。通信教育を比べるときは、教材の対象学年や教科が、お子さんの学年と合っているか、学年が上がっても続けて使えるかを確認すると、選びやすくなります。先取りを目指すのか、学校の復習なのかによって、見るところも変わります。
学校のデジタル教科書の動き
文部科学省の説明によると、学習者用デジタル教科書は、いまは「補助教材」の扱いです。令和7年9月の中央教育審議会の審議まとめでは、教科書の形態として、紙だけでなくデジタルのものも認め、現場が選べるようにすることを制度上位置づける、とされました。文部科学省は、必要な制度改正に向けて取り組んでいます[5]。また、令和6年度から、小学5年生から中学3年生を対象に、英語のデジタル教科書の提供が始まっています[5]。
通信教育のタブレット教材は、学校のデジタル教科書とは別のものです。ただ、学校で使う端末や教科書が変わっていくなかで、家庭の教材をどう組み合わせるかを考える方もいるかもしれません。学校での使い方は、学校からのお知らせで確認してください。タブレットで学ぶときの目の使い方や、紙との使い分けは、タブレット学習の記事に整理しています。
比べるときの5つのポイント
ここからは、通信教育を比べるときの見かたです。上で確かめた国の調査は、「どの教材がよいか」を示すものではありません。以下は、一般にいわれる見かたを整理したもので、研究で効果が確かめられたものではありません。
1. お子さんの性格に合う形か
鉛筆で書くのが好きなのか、画面を触るほうが集中できるのか。紙の教材とタブレット教材では、向き不向きがあるといわれます。可能なら体験や資料で、お子さんが実際に触れて「やってみたい」と思えるかを確かめましょう。
2. 学べる教科と学年の範囲
算数だけを強化したいのか、国語や英語もふくめて全体を見たいのか。目的によって、選ぶものが変わります。図3のように学年によって教科の内容が変わるので、学年が上がったときに続けて使えるかも見ておくと安心です。
3. 毎日続けやすい仕組みか
1回の学習量が多すぎると、続けることが負担になります。ごほうびの仕組みや、短時間で終わる設計など、お子さんが飽きずに続けられる工夫があるかを見ましょう。
4. 保護者の負担はどのくらいか
丸つけが自動か、保護者が見守れる機能があるかによって、毎日の負担は変わります。共働きのご家庭などは、とくに確認しておきたいポイントです。
5. 総額で費用を比べる
月額だけでなく、教材費や専用端末の費用、支払い方法による違いも含めて、総額で比べましょう。図1・図2の金額は平均で、実際の費用は教材ごとに違います。料金は変わるので、必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。
途中でやめる場合の条件も、申し込む前に確認しておくと安心です。国民生活センターは、毎月の支払いが続くサービス(サブスクリプション)全般について、申し込む前の最終確認画面で、価格や解約の方法をよく確認すること、利用中は毎月の請求を見直すこと、アプリを消しただけでは解約にならず、事業者が決めた方法で手続きが必要なことを注意喚起しています[6]。困ったときの相談先として、消費者ホットライン「188」も案内されています[6]。
資料請求は、比べる材料をそろえるための第一歩
気になる教材の資料を2〜3社分そろえて、お子さんと一緒に見ながら「どれがやってみたい?」と聞いてみてください。お子さん自身が選んだ教材のほうが続きやすい、という声もあります(これを確かめた調査は、今回は見つけられていません)。資料請求が入会の申し込みとは別のものか、請求後に電話やメールが来るかどうかは、請求の前に各社の案内で確認しておくと安心です。
こんなご家庭には、特に確認をおすすめします
共働きで平日の丸つけが難しいご家庭、紙のドリルが続かなかった経験のあるご家庭は、自動丸つけや、ごほうびのしくみがあるかを重点的に見てみてください。続けやすさは、お子さんとの相性にもよるので、無理のない形を探しましょう。
よくある疑問
通信教育と学習塾は、どちらを選べばよいですか?
今回確認した資料からは、どちらがよいとは言えません。調査でわかるのは、費用の平均と、0円の家庭の割合だけで、学習の成果を比べたものではありません[2]。宿題を補いたいのか、苦手を減らしたいのか、先に進みたいのか、目的に合わせて選ぶことになります。
費用の相場は、どのくらいですか?
この記事の金額は、公立小学校の家庭の年間の平均で、教材ごとの料金の相場ではありません[2]。個別の教材の料金は変わるので、公式サイトや資料で確認してください。
合わなかったら、途中でやめられますか?
やめるときの条件は、教材や契約によって違います。申し込む前に、やめ方や、その後の請求がどうなるかを確認しておくと安心です[6]。
授業についていけるか心配なときは?
通信教育を選ぶ前に、まず学校の先生にお子さんの様子を聞いてみる方法があります。つまずいている単元がわかると、教材を選ぶ目安にもなります。
紙とタブレットは、どちらがよいですか?
どちらかに決める必要はありません。お子さんの様子を見て、合う形を探してください。タブレットの使い方の目安は、タブレット学習の記事に整理しています。
参考にした資料
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査結果のポイント」(令和8年1月16日)(調査期間(令和5年4月1日〜令和6年3月31日)、公立小学校の調査実施校405校・集計6,627人、学習費総額366,599円、学校外活動費256,489円、補助学習費と通信教育・家庭教師費の定義を確認。)
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査 調査結果の概要(2 調査結果の概要)」(令和6年12月)(公立小学校の補助学習費の内訳(学習塾費56,167円、通信教育・家庭教師費20,996円、家庭内学習費14,105円、その他1,630円、合計92,898円)、通信教育・家庭教師費の0円の割合60.5%と支出者平均、学習塾費の0円の割合64.8%と支出者平均を、複数回読み直して確認。内訳の合計が合計額と一致することを確認。)
- ベネッセ教育総合研究所「第3回 学校外教育活動に関する調査(2017)」(3〜18歳の子どもをもつ母親16,170人、2017年3月、インターネット調査で、約7割が「お金がかかり過ぎ」と感じているという要点を確認。通信教育の利用率は、このページには書かれていなかった。)
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(平成29年3月31日告示。別表第1の国語・算数・外国語活動・外国語の年間標準授業時数を確認。)
- 文部科学省「3.学習者用デジタル教科書について」(現在は補助教材の扱いであること、令和7年9月の中央教育審議会の審議まとめの内容、令和6年度からの英語のデジタル教科書の提供を確認。)
- 国民生活センター「利用していないのに支払い続けていた! サブスクの契約に注意(見守り情報)」(2023年12月19日)(申込前の確認、利用中の請求の確認、解約の手続き、消費者ホットライン188の案内を確認。教材に限った記事ではなく、サブスクリプション全般の注意。)
この記事について:上の資料を実際に開いて、書かれている内容と数字を確かめて書きました。図1・図2・図3の数字は出典の値をそのまま写したものです。自分で計算したのは、図2の「1円以上」の割合(100%から「0円」の割合を引いた値)だけです。また、公立小学校の補助学習費の内訳4項目を足すと合計の92,898円になること、「0円」の割合と支出者平均から掛け算した平均が表の平均額とほぼ合うことも、読み取りの確認のために計算しました。
確認できていないことは次のとおりです。(1)小学生が通信教育を使っている割合(利用率)。ベネッセの2017年の調査ページには、その数字が書かれていませんでした。(2)通信教育の学習効果を調べた研究。(3)個別の通信教育サービスの料金や仕様(変わるので書いていません)。(4)通信教育・家庭教師費の学年別の金額(資料の表から安定して読み取れなかったため、使っていません)。(5)学習指導要領の本文の内容(別表の授業時数のみ確認)。(6)私立小学校の金額(公立小学校のみを使っています)。調査のPDFの表は数字を複数回読み直して照らし合わせましたが、お気づきの点があればお知らせください。
この記事は、運営者が一般的な情報をもとにまとめたもので、教育・金融・消費者問題の専門家による監修は受けていません。契約については、各社の案内や契約書面、消費生活センター(消費者ホットライン188)などで確認してください。内容に誤りがあれば、お知らせください。