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タブレット学習は効果なし?学力低下と言われる根拠と、見直すところ

公開:2026-10-22 最終更新:2026-10-22 運営:九九ダッシュ運営

結論:「タブレットだから効果なし」とは言い切れない

  • 得点が低い傾向が見られたのは、余暇のSNSやゲームの時間が長い場合が中心です[1][2]。
  • しかも多くは相関で、原因と結果を示したものではありません。
  • 効果が出にくいのは、持っているだけ・答えを見て進める・量が決まっていない使い方です[5][6]。
  • 1週間の使い方を記録すると、見直すところが見えてきます。

学力低下の根拠を見る 1週間の記録表へ

この記事を書いた人:神奈川で共働き、子ども3人の親です。

スマイルゼミを子ども2人分使っていましたが、子どもがやらなくなって解約しました。

「タブレットは効果がなかったのか、使い方の問題だったのか」を知りたくて、資料を調べました。

タブレット学習の全体の効果と、視力や時間の目安は「タブレット学習の効果は?研究でわかった「効く使い方」と「効かない使い方」」にまとめました。

この記事では、次の3つにしぼります。

「効果なし」「学力低下」と言われる根拠は、おもに3つ

「タブレット学習は学力低下につながる」という話のもとをたどると、次の3種類の資料に行き着くことが多いです。

順に、何が書いてあるかを確かめました。

根拠1:PISA2022で、余暇のSNS・ゲームが長いほど得点が低い

PISAは、OECDが15歳の生徒を対象に行う国際的な学力調査です。日本は高校1年生相当が参加しています。

文部科学省のまとめでは、次のように書かれています[1]。

内閣府の会議の参考資料でも、同じPISA2022と全国学力・学習状況調査をもとに、SNSや動画を見る時間が長い児童生徒ほど正答率が低いことが示されています[2]。

ここで大事なのは、調べているのは「余暇」の時間だということです。

学習アプリやタブレット教材で勉強した時間とは、分けて集計されています。

根拠2:OECDの報告で、授業中に端末で気が散ると得点が低い

OECDのPISA2022の報告書(第2巻)の前書きには、次の2つがあります[3]。

どちらも生徒と学校の社会経済的な背景(家庭の経済状況など)をそろえたうえでの数字とされています。

ただし、日本で「ほかの生徒の端末に気が散る」と答えた生徒は4.0%で、OECD平均の30.4%よりかなり少ない結果でした[1]。

根拠3:端末を配るだけでは、学力は上がらなかった

Escuetaらの2017年のレビューは、くじ引きで使う人と使わない人を分けて比べた実験など、教育のテクノロジーについての研究をまとめたものです。

J-PALの紹介では、端末を配るだけでは学習成果はおおむね改善しなかったとされています[5]。

「タブレット学習は効果なし」という論文として紹介されるのは、この結果であることが多いです。

ただ、同じレビューでは、レベルに合わせて出題する学習ソフトは特に数学で有望とされています[5]。

「タブレットに効果がない」ではなく、「持たせるだけでは効果がない」という結果です。

根拠を読むときの注意:「相関」と「因果」はちがう

根拠1と根拠2は、どちらも調査のデータから「一緒に起きていること」を見たものです。これを相関といいます。

「ゲームの時間が長い」と「得点が低い」が一緒に見られても、片方が原因とは決められません。

たとえば、次のような説明もありえます。

OECDの報告は家庭の経済状況などをそろえていますが、それでも相関の分析です。

くじ引きで分けた実験とはちがい、ここから「タブレットのせいで下がった」とは言えません。

もう1つの注意は、時間の長さです。OECDの2025年の報告は、学校外の余暇のデジタル利用を調べたものです。

1日4時間を超えてから数学の得点や学校への所属感との関係がマイナスになる、とまとめられています[4]。

短い利用まで同じように悪いと示したものではありません。

表1 「効果なし」「学力低下」の根拠になる資料と、読むときの注意(運営者が資料からまとめたもの)
資料わかったこと読むときの注意
PISA2022(文部科学省のまとめ)[1]余暇のSNS・ゲームが一定時間を超えると得点が低い傾向相関。15歳が対象。余暇の時間の話
PISA2022 報告書 第2巻[3]授業中に端末で気が散ると15点低い。学習目的で1日1時間までは14点高い相関(背景はそろえている)。日本は気が散る生徒が少ない
OECD 2025年の報告[4]学校外の余暇は、1日4時間を超えてからマイナスの関係相関。要約部分だけ確認
Escuetaらのレビュー[5]端末を配るだけでは改善しない。レベルに合わせる学習ソフトは数学で有望実験の研究が中心。海外の研究が多い

まとめると、資料が示しているのは「画面の時間がすべて悪い」ではありません。何に使っている時間かで、結果の向きが変わっています。

タブレット学習の効果が出ないのは、こんなとき

上のレビューと、国内のタブレット教材の調査から、効果が出にくい使い方を5つにまとめました。

国内の調査は、中学2年生約300人が約10か月タブレット教材を使ったものです。

はじめの学力をそろえても、まちがえた問題を解き直して最後に正解した数があとの学力と結びついていました[6]。

九九のように答えがはっきりしたくり返しの練習は、すぐ答え合わせできるタブレットと相性がよい分野です。

九九にしぼった比べ方は「九九のタブレット学習は効く?」に書きました。

1週間の記録で「効かない使い方」の割合を出す

「効果がない気がする」と感じたら、まず1週間だけ、どう使っているかを記録してみてください。毎日すべてを見張る必要はありません。

そばで見た日や、教材の学習記録で分かる範囲で十分です。

タブレット学習 1週間の記録表

1日ごとに、だいたいの分数を入れてください。端末の中だけで計算し、どこにも送りません。印刷して書きこむこともできます。

解き切り
問題を解いて答え合わせし、まちがいは解き直して正解まで進めた時間
見るだけ
説明の動画やレッスンを見ていた時間(問題は解いていない)
効かない
答えを見て進めた・とばした時間と、ゲームや動画など学習以外にそれた時間
表2 1週間の使い方(単位:分)
曜日解き切り見るだけ効かない
合計000

記入例は、運営者が説明用に作った数字です。わが家の記録ではありません。

割合の分け方は、上のレビュー[5]と国内の調査[6]で「解き切ること」が成果と結びついていたことをもとにしています。

「見るだけ」が悪いという研究ではありません。解き切る時間につながっているかを見るための区分です。

効果が出ないときの見直しポイント

記録で多かった項目から順に、1つずつ試すのがおすすめです。全部を一度に変えると、何が効いたのか分からなくなります。

1. 「解き切り」を増やす

答えを見たら、同じ問題をもう一度自分で解いて正解まで進めます。

国内の調査で、あとの学力と結びついていたのはこの「最後に正解した数」でした[6]。

新しい問題を増やすより、まちがえた問題を終わらせるほうを先にします。

2. レベルを合わせる

簡単すぎると流すだけになり、難しすぎると止まります。多くの教材には、学年をさかのぼる・先に進む設定があります。

設定のしかたは教材ごとにちがうので、公式の案内で確かめてください。

3. 時間か量を先に決める

「1日15分」「1レッスン」など、終わりが見える約束にします。

レビューでは、決まった宿題として使ったときに効果が大きかったとされています[5]。

時間の決め方は「学習ゲームと上手に付き合う」も参考になります。

4. 学習以外にそれない仕組みにする

学習中は学習アプリだけ使えるようにすると、脱線の時間を減らしやすくなります。

得点が低い傾向が見られたのは、余暇のSNSやゲームの時間が長い場合でした[1]。

勉強の時間とゲームの時間は、分けて約束するのがおすすめです。

5. 大人が結果をときどき見る

週に1回でも、解き切った数を一緒に見て声をかけます。

国内の調査では、「やればできる」という気持ち(自己効力感)も、あとの学力と結びついていました[6]。

6. それでも使われないなら、教材の形を変える

見直しても開かない日が続くなら、その教材の形が子どもに合っていない可能性があります。

わが家は子どもがやらなくなり、スマイルゼミを2人分解約しました。手続きは電話ですんなり終わり、専用タブレット代の残りを支払いました。

くわしくは「スマイルゼミの解約、うちは2人分やめました」に書いています。

やめたあとの選び方は「スマイルゼミをやめた後、家の勉強どうする?」にまとめました。

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公式サイトで条件を確かめた2つです(2026年10月22日時点)。わが家が使ったのはスマイルゼミだけで、デキタスは使っていません。

専用タブレットで進めたい:スマイルゼミは、専用タブレットで学ぶ通信教育です。資料請求は無料です。注意点として、6か月未満で退会すると専用タブレット代29,820円(税込32,802円)、6か月以上12か月未満なら6,980円(税込7,678円)がかかります[7]。
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正直なデメリットと、この記事の限界

よくある疑問

タブレット学習は、学力低下につながりますか?

今回確認した資料からは、そうとは言い切れません。

PISA2022などで得点が低い傾向が見られたのは、おもに余暇のSNSやゲームの時間が長い場合で、しかも相関です[1][2]。

学習目的で学校で1日1時間まで使った生徒は、使わなかった生徒より数学の得点が高い、という報告もあります[3]。

タブレット学習は効果がない、という論文はありますか?

「端末を配るだけでは学習成果はおおむね改善しない」とまとめた研究レビューがあります。

ただし同じレビューで、レベルに合わせて出題する学習ソフトは、特に算数・数学で有望とされています[5]。

効果がないのは「タブレット」ではなく「持っているだけの使い方」と読むのが近いです。

タブレット学習の効果が出ないとき、やめたほうがいいですか?

先に使い方を1〜2週間見直してみるのがおすすめです。

答えを見て進めていないか、レベルが合っているか、やる量が決まっているかを確かめます。

それでも使われないなら、教材の形が合っていない可能性があります。わが家は子どもがやらなくなり、スマイルゼミを解約しました。

勉強の時間と、ゲームや動画の時間は分けて考えたほうがいいですか?

分けて考えるのがおすすめです。

PISA2022をもとにした資料では、得点が低い傾向は余暇のSNSやゲームの時間が一定を超えた場合に見られ、学習目的の短い利用では得点が高い傾向でした[1][3]。

画面の時間をまとめて数えるより、何に使っている時間かを見るほうが手がかりになります。

次の一歩

まずは1週間、上の記録表で使い方を見てみてください。

多かった項目から1つだけ直して、もう1週間記録すると、変化が分かりやすくなります。

タブレット学習の全体像(効く使い方・視力や時間の目安)は「タブレット学習の効果は?」で、教材そのものの選び方は「小学生の通信教育の選び方」で整理しています。

参考にした資料

  1. 文部科学省・国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調査 PISA2022のポイント/結果(概要・詳細)」(「日本もOECD平均も、SNSやデジタルゲームに費やす時間が一定時間を超えると、3分野の得点は低下する傾向」の記述、余暇に1日3時間以上の生徒の割合(ゲーム 日本17.4%・OECD平均24.5%、SNS閲覧 日本19.0%・OECD平均33.8%)、「他の生徒がデジタル・リソースを使っているために気が散っている」日本4.0%・OECD平均30.4%を確認。2026年10月22日確認)
  2. 内閣府 経済財政諮問会議の参考資料「スマートフォン・SNS等の長時間利用と学力との関係」(令和6年度全国学力・学習状況調査とPISA2022をもとに、SNS・動画視聴の時間が長い児童生徒ほど正答率が低いこと、SNSやデジタルゲームの時間が一定を超えると得点が低下する傾向を確認。グラフの数値は読み取れなかったため使っていない。2026年10月22日確認)
  3. OECD「PISA 2022 Results (Volume II): Learning During – and From – Disruption」(2023年12月5日。書誌はOECDの公式ページで確認。前書き(p.5)の、学校で学習目的に1日1時間まで端末を使った生徒は使わない生徒より数学が14点高い、ほかの生徒の端末に気が散る生徒は15点低い(どちらも社会経済的背景を考慮後)、余暇の技術利用は低い成績と結びつくことが多い、という記述は、OECDのサイトのPDFが開けなかったため、チェコ学校監査局が掲載した同報告書のPDFで確認。2026年10月22日確認)
  4. OECD「Finite Time to Learn and Play: Digital leisure time and students' academic performance and sense of belonging at school」(学校外の余暇のデジタル利用は、1日4時間を超えてから数学の得点・学校への所属感との関係がマイナスになる、という要約部分を確認。本文の数字は確認できていない。公開年はページ内の画像の格納場所から2025年と判断。2026年10月22日確認)
  5. Escueta, Quan, Nickow, Oreopoulos「Education Technology: An Evidence-Based Review」NBER Working Paper 23744(2017年)と、J-PALの紹介記事「Exploring the promise of education technology」(実験の研究をまとめたレビューであること、端末の配布だけでは学習成果はおおむね改善しなかったこと、コンピュータ支援学習は特に数学で有望なこと、オンラインだけの授業は対面より成績が低い傾向を確認。授業の道具として、または必修の宿題の支えとして使ったときに最も効果的だった(J-PAL)ことを確認。2026年10月22日確認)
  6. ベネッセ教育総合研究所 岡部悟志・中垣眞紀・木村治生「タブレット教材の学習ログを用いた学習成果の分析」(2018年。中学2年生約300人が約10か月タブレット教材を使ったこと、事前の学力を統制しても最終正答問題数と自己効力感が事後の学力に正の有意な影響を示したこと、通塾は有意でなかったこと、中下位層で効果が大きかったことを確認。教材を作る会社のグループによる調査で、くじ引きの実験ではない。題名は運営者が内容から付けた要約。2026年10月22日確認)
  7. スマイルゼミ「小学生コース 料金」(6か月未満で退会した場合の専用タブレット代29,820円(税込32,802円)、6か月以上12か月未満は6,980円(税込7,678円)、資料請求の案内を確認。2026年10月22日確認)
  8. デキタス「料金」(小学生コース月額3,960円(税込)、初期登録料990円(税込)、専用の機器は不要なことを確認。無料体験の条件はこのページに書かれていなかった。2026年10月22日確認)

この記事について:上の資料を2026年10月22日に開き、書かれている内容と数字を確かめて書きました。
確認できていないことは次のとおりです。(1)OECDの2015年の報告書「Students, Computers and Learning」(ICTに多く投資した国で学力の目立った改善がなかった、とよく紹介されるもの)は、本文を開けなかったため使っていません。(2)PISA2022の報告書の第5章(端末の利用時間と得点の詳しい図)は確認できていません。(3)全国学力・学習状況調査の報告書本体。(4)小学生の家庭学習用タブレット教材の効果を、くじ引きで比べた国内の研究。
この記事は、運営者が一般的な情報をもとにまとめたもので、教育・医療の専門家による監修は受けていません。お子さんの目や体調が気になるときは小児科や眼科に、学習の進め方は学校の先生にご相談ください。内容に誤りがあれば、お知らせください。

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