タブレット学習、うちはやめました。海外で紙に戻す動きと、やめ時の目安
結論:やめるかは「タブレットか紙か」より、使い方で決める
「タブレット学習をやめた」という話は、SNSでもよく見かけます。海外では学校が紙の教科書に戻している、というニュースもありました。
この記事では、海外で実際に何が決まったのかを政府の資料で確かめました。
そのうえで、家でやめるか続けるかを決める手がかりをまとめています。
タブレット学習そのものの効果は、「タブレット学習の効果は?研究でわかった「効く使い方」と「効かない使い方」」でくわしく整理しました。
この記事は「やめるかどうか」にしぼっています。
海外で「紙に戻す」動き:スウェーデンで決まったこと
「タブレット学習をやめた国」としてよく名前が出るのは、スウェーデンです。スウェーデン政府のサイトで、決まったことを順に確かめました。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2022年12月 | 学校担当大臣が新聞への寄稿で「学校のデジタル化は多くの点で実験だった」「紙の本には、どんなタブレットにも代えられない利点がある」と書いた[1] |
| 2023年3月 | 学校が教科書と教師用指導書を買うための国の補助金を始めた。2023年は6億8,500万クローナ[2] |
| 2024年〜 | 補助金は2024年に6億5,800万クローナ、2025年に7億5,500万クローナ。2026年以降も年5億5,500万クローナの予定[3] |
| 2024年1月〜 | 学校庁(Skolverket)がまとめた2023〜2027年のデジタル化戦略の案を、政府は進めないとした。脳の研究者や小児科医からの批判があったと書かれている[3] |
| 2025年7月1日〜 | 就学前の学校で、デジタルの学習道具を使うことを求める決まりをなくした。2歳未満は本などアナログの道具だけ、それより上もごく控えめに使う[3] |
ここで大事なのは、デジタルを全部やめたわけではないという点です。
政府の記事には「デジタルの学習道具は、学びを妨げるのではなく助ける年齢になってから、授業に取り入れるべき」と書かれています[3]。
補助金の対象も「デジタルの部分があってもなくてもよい教科書」です[2]。
「紙だけに戻した」というより「紙の本を取り戻し、デジタルは使う年齢と場面を選ぶ」に近い方針です。
なお、スウェーデンの決定は学校の授業についてのものです。家庭のタブレット教材を調べて決めたものではありません。
ユネスコの報告書も「売る側の証拠が多い」と指摘
国連のユネスコは、2023年の世界教育モニタリング報告書で教育とテクノロジーを取り上げました。
報告書のサイトには、次のような要点が書かれています[4]。
- 教育でのデジタル技術の上乗せの価値について、確かな証拠は少ない。証拠の多くは豊かな国のもので、売る側から出ているものも多い
- 一部の学習には、小〜中くらいのよい効果があった
- 使い方が合わなかったり、使いすぎたりすると、悪い影響が出ることもある
- 機器を配ることより、学習の成果に目を向けるべき
「タブレットは悪い」と言っているのではなく、「何のために、どう使うか」が先だという内容です。
日本はどうなる?デジタル教科書は「紙と組み合わせ」が基本の案
日本では、2030年度からデジタル教科書が正式な教科書になる予定です。
共同通信の2026年10月19日の報道によると、文部科学省がまとめた指針の素案は次のような内容です[5]。
- 紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッド」が基本で、紙を中心にデジタルで補う
- 完全デジタルは小4以下で認めない。ハイブリッドのデジタル部分も小4以下は限定的にする
- 導入後は、学習や健康への影響を確かめて、必要なら見直す
まだ素案の段階で、有識者会議で話し合われている途中です[5]。決まった内容は、文部科学省の発表で確かめてください。
タブレット学習をやめる理由と、研究からわかること
「なぜiPadやタブレットでの勉強をやめたのか」を見ていくと、理由はだいたい次の6つに分かれます。
研究や公的な資料でわかっていることと、やめる前に試せることを並べました。
| やめる理由 | わかっていること | やめる前に試せること |
|---|---|---|
| 開かなくなった | 決まった宿題として使うと効果が大きかった[6] | 時間か量を先に決める(例:夕食前に1レッスン) |
| 答えを見て進める | まちがいを解き直して正解した数が、あとの学力と結びついていた(中学生の調査、相関)[7] | まちがえた問題だけ、その日のうちに解き直す |
| 動画やゲームに流れる | 余暇のSNSやゲームが長いと、得点が低い傾向(相関)[8] | 学習中は学習アプリだけ使えるように設定する |
| 目や寝る前が心配 | 30cm以上離す・30分に1回は20秒以上遠くを見る・寝る1時間前は控える[9] | 使う時間帯を夕方までに動かす。心配なら眼科へ |
| 紙で字を書かせたい | スウェーデンも紙の教科書に予算を出した[2] | 計算はタブレット、漢字と筆算は紙、と分ける |
| 料金に見合わない | 専用タブレット型は、やめる時期で端末代が変わることがある[10] | やめる前に、端末代の境目の月を確かめる |
100件以上の実験研究をまとめたレビューでは、端末を配るだけでは学力は上がりにくい一方、レベルに合わせて出題するソフトは算数・数学で有望とされました[6]。
国内の中学2年生約300人の調査は、くじ引きで比べた実験ではなく、教材会社のグループによるものです[7]。
内閣府の資料も、時間と得点の「関係」を示したもので、原因を示したものではありません[8]。
つまり、やめる理由が「使い方」なら、形を変えれば続けられることがあります。
理由が「子どもに合わない」「家の生活に合わない」なら、やめて別の形を探すほうが早いこともあります。
九九のように答えがはっきりした練習は、画面と相性がよい分野です(「九九のタブレット学習は効く?」で比べています)。
やめる・続ける・形を変える判定チェッカー
いまのタブレット学習について、近いものを選んでください。運営者が上の資料をもとに考えた目安です。
端末の中だけで計算し、どこにも送りません。
うちのタブレット学習、どうする?(8問)
選ぶたびに結果が変わります。
やめる前に試せること
チェッカーで「形を変える」が出たときに試せることを、手間の少ない順に並べました。
どれも2週間ほど続けてみると、合うかどうかが見えやすくなります。
- 時間か量を決める:「夕食前に1レッスン」のように、やる場面を先に決めます。決まった宿題として使うと効果が大きかった、という研究のまとめがあります[6]。
- まちがいだけ解き直す:全部やり直さず、まちがえた問題だけにしぼります[7]。
- レベルを合わせ直す:簡単すぎる・難しすぎるときは、教材の設定や前の学年の内容に戻します。
- 学習以外のアプリを止める:学習中は学習アプリだけ使えるようにします。
- 紙と分ける:計算のくり返しはタブレット、漢字や筆算は紙のドリル、と役割を分けます。
- 目と寝る前を整える:画面は30cm以上離し、30分に1回は20秒以上遠くを見ます。寝る1時間前は使わないようにします[9]。
子どもがやらない理由が、教材ではなく生活リズムや声かけにあることもあります。
気になる方は「子どもが勉強しない…原因と親ができること」もあわせてどうぞ。
わが家がスマイルゼミをやめたときのこと
わが家はスマイルゼミを子ども2人分契約していましたが、子どもがやらなくなって解約しました。解約は電話で、すんなり終わりました。
専用タブレットのため、タブレット代の残りを払っています。
専用タブレットを使う教材は、やめる時期で端末代が変わることがあります。
スマイルゼミの公式サイトでは、6か月未満の退会は税込32,802円のタブレット代がかかるとされています。
6か月以上12か月未満なら税込7,678円です(2026年10月22日時点)[10]。
やめると決めたら、締め日と端末代の境目を先に確かめておくと安心です。
くわしくは「スマイルゼミの解約、うちは2人分やめました」と「損しないやめどきは6か月と12か月の境目」にまとめました。
タブレット学習をやめた後の選び方
やめた後は、やめた理由に合わせて次の形を選ぶと、同じところでつまずきにくくなります。
- やらなくなった:1回が短く終わるもの(10分以内のドリル・アプリ)
- 紙で書かせたい:市販のドリルや紙の通信教育
- 料金が重い:専用機器の要らない教材や、無料のプリント・アプリ
- 人に見てほしい:添削や先生のいる形
- 算数だけでいい:算数にしぼったドリルやアプリ
理由ごとの選び方と、資料を並べる比較メモは「スマイルゼミをやめた後、家の勉強どうする?」にまとめています。
通信教育どうしを比べるときは「小学生の通信教育の選び方」、アプリの選び方は「勉強アプリ・タブレットの選び方」が参考になります。
専用タブレットなしで試せる教材(PR)
わが家が使ったのはスマイルゼミだけで、次の2つは使っていません。公式サイトで条件を確かめたものです(2026年10月22日時点)。
手持ちの端末で続けたいなら、デキタス(PR)があります。専用機器は不要で、パソコン・タブレット・スマホで使えます。
小学生コースは月額3,960円(税込)、初期登録料990円です。
無料体験は、入会しなければ自動でログインできなくなり、費用はかかりません[11]。
ただし画面で学ぶ形なので、「紙で書かせたい」が理由なら合いにくいです。
教科の勉強に飽きてしまったなら、ワンダーボックス(PR)もあります。4〜10歳向けで、アプリと毎月届くキットで学ぶ教材です。
12か月一括払いで月々3,700円(税込)、資料請求で体験版のワークブックとアプリが届きます[12]。
教科書の内容を進める教材ではない点に注意してください。
小学校のタブレットを「やめてほしい」と思ったら
家庭のタブレット教材とちがって、学校の端末は授業の道具として使われています。
家庭の判断だけで使わないようにするのは、難しい場合があります。心配なことがあるときは、次のように分けて考えると話しやすくなります。
- 持ち帰ったあとの使い方:宿題で使う時間や、使ってよいアプリを担任の先生に確かめる
- 家でできること:30cm以上離す・30分に1回は遠くを見る・寝る1時間前は控える[9]
- 目や体のこと:見えにくそう・目が疲れやすそうなら、眼科や小児科に相談する
家での画面時間のルールづくりは「学習ゲームと上手に付き合う」も参考になります。
正直なところ:やめるときに気をつけたいこと
- やめても、勉強する時間帯や量が同じままだと、次の教材でもまた手が止まることがあります
- 専用端末の教材は、やめる時期によって端末代がかかります
- スウェーデンの話は学校の授業についての決定で、家庭学習の正解を示したものではありません
- 研究の多くは相関や海外の結果で、お子さんにそのまま当てはまるとは限りません
次の一歩
まずは上の判定チェッカーで、いまの状態を確かめてください。「形を変える」なら、試せることを2週間。
「やめる」なら、端末代の境目を確かめてから、次の形を2〜3社分の資料で比べてみてください。
タブレットを続ける場合の使い方は「タブレット学習の効果は?」の使い方チェックが役に立ちます。
短い時間で机に向かう流れを残すコツは「家庭学習の習慣づけ」にまとめました。
よくある疑問
タブレット学習をやめた国はありますか?
スウェーデンは2023年から、紙の教科書を買うための国の補助金を出し、学校庁がまとめたデジタル化戦略の案も進めないと決めました[2][3]。
ただし、デジタルを全部やめたわけではありません。
政府は、デジタルの学習道具は学びを助ける年齢になってから使う、という考え方を示しています[3]。
なぜタブレット(iPad)での勉強をやめる家があるのですか?
よくある理由は「子どもがやらなくなった」「答えを見て進めてしまう」「動画やゲームに流れる」「目や寝る前が心配」「紙で字を書かせたい」「料金に見合わない」などです。
研究でも、端末を持つだけでは学力は上がりにくく、レベルに合う問題を解き直す使い方で効果が見られやすいとされています[6][7]。
小学校のタブレットをやめてほしいときは、どうすればいいですか?
学校の端末は授業の道具として使われているので、家庭の判断だけで使わないようにするのは難しい場合があります。
持ち帰ったときの使い方や時間は、担任の先生に相談してみてください。
家庭では「画面と目を30cm以上離す」「30分に1回は遠くを見る」「寝る1時間前は控える」という文部科学省の目安が使えます[9]。
目が心配なときは眼科へ相談してください。
タブレット学習をやめた後は、何を選べばいいですか?
やめた理由で選ぶのがおすすめです。やらなくなったなら1回を短く、紙で書かせたいならドリルが合います。
料金が重いなら、専用機器が要らない教材や無料の道具が向いています。決める前に2〜3社の資料や体験版を並べてみてください。
参考にした資料
- スウェーデン政府(教育省)、学校担当大臣ロッタ・エドホルム氏の寄稿「Digitaliseringen i skolan har varit ett experiment」(2022年12月22日掲載、初出はExpressen紙)(「学校のデジタル化は多くの点で実験だった」「紙の本にはどんなタブレットにも代えられない利点がある」という記述を確認。2026年10月22日に閲覧)
- スウェーデン政府 プレスリリース「Regeringen gör det möjligt för skolor att söka bidrag för fler läroböcker」(2023年3月3日)(教科書の補助金、2023年は6億8,500万クローナ、デジタルの部分があってもなくてもよい教科書が対象、大臣の「紙の本は学びに大切」という発言を確認。2026年10月22日に閲覧)
- スウェーデン政府「Regeringen satsar på ökad lästid och minskad skärmtid」(2024年1月31日掲載、2025年10月23日更新)(教科書補助金の年ごとの額、学校庁のデジタル化戦略の案を進めないこと、就学前の学校の決まりの変更(2025年7月1日から)、「学びを助ける年齢になってから導入」という方針を確認。2026年10月22日に閲覧)
- UNESCO「Global Education Monitoring Report 2023: Technology in education」(報告書サイトの要点:上乗せの価値の確かな証拠は少ない、証拠の多くは売る側から、一部の学習に小〜中の効果、不適切・過度な使用は悪影響もありうる、を確認。報告書本文は開いていない。2026年10月22日に閲覧)
- 共同通信(熊本日日新聞サイト掲載)「「紙・デジタル併用」基本の素案 デジタル教科書、構成は紙中心」(2026年10月19日)(2030年度から正式な教科書になるデジタル教科書の指針の素案で、ハイブリッドが基本、完全デジタルは小4以下で認めない、導入後に影響を検証、という内容を確認。文部科学省の資料そのものは確認していない)
- Escueta, Quan, Nickow, Oreopoulos「Education Technology: An Evidence-Based Review」NBER Working Paper 23744(2017年)と、J-PALの紹介記事「Exploring the promise of education technology」(100件以上の実験研究のまとめ、端末を配るだけでは学習成果はおおむね改善しなかったこと、コンピュータ支援学習は特に数学で有望で、授業内や決まった宿題として使うと効果的だったことを、J-PALの記事で確認)
- ベネッセ教育総合研究所「タブレット教材の学習ログを用いた学習成果の分析」(2018年)(中学2年生約300人が約10か月使ったこと、もともとの学力を統制しても最終正答問題数と自己効力感が学力に正の効果を示したことを確認。題名は運営者が内容から付けた要約です)
- 内閣府 経済財政諮問会議の参考資料「令和7年度全国学力・学習状況調査の結果のポイント(ICT関係)」(SNSやデジタルゲームの時間が一定を超えると3分野の得点が低下する傾向、という関係の記述を確認)
- 文部科学省「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック(令和4年3月改訂版)」(目と画面を30cm以上離す(p.9)、30分に1回は20秒以上遠くを見る(p.11)、就寝1時間前から使用を控える(p.17)を確認)
- スマイルゼミ公式「小学生コースの料金」(専用タブレット代、6か月未満の退会で税込32,802円、6か月以上12か月未満で税込7,678円を請求することを確認。2026年10月22日に閲覧)
- デキタス公式「受講料・システム」「よくある質問」(小学生コース月額3,960円・初期登録料990円(税込)、専用機器が不要なこと、無料体験は入会しなければ自動でログインできなくなり費用がかからないことを確認。2026年10月22日に閲覧)
- ワンダーボックス公式「WonderBox 公式サイト」(対象4〜10歳、アプリとキットの教材、12か月一括払いで月々3,700円(税込)、資料請求でパンフレット・体験版ワークブック・体験版アプリが届くことを確認。2026年10月22日に閲覧)
この記事について:上の資料を実際に開いて、書かれている内容と数字を確かめて書きました(2026年10月22日)。スウェーデンの資料はスウェーデン語の原文を確かめ、運営者が日本語にしています。クローナの金額は円に直していません。
確認できていないことは次のとおりです。(1)スウェーデンで、紙に戻したあと学力がどう変わったかを示すデータ。(2)ユネスコ報告書の本文と提言の細かい内容。(3)日本のデジタル教科書の指針の最終的な内容(記事の時点では素案の報道のみ)。(4)家庭用タブレット教材をやめた家庭の割合を示す調査。
この記事は、運営者が一般的な情報をもとにまとめたもので、教育・医療の専門家による監修は受けていません。お子さんの目や体調が気になるときは眼科・小児科に、学校の端末の使い方は学校の先生にご相談ください。